内容説明
富士山麓の樹海の奥深く、大型ヨットが浮かび、亡霊がさまよっている―その「都市伝説」を確かめようと訪れた五人の男子学生と二人の女子高生を包み込む極彩色の胞子の霧。そして現れたキノコの怪物!十年後―悪夢を忘れ、女優、作家、キャスター、刑事、実業家、細菌学者、宇宙飛行士として活躍する彼らのうち、四人の身体に異変が。十年の潜伏期間を経て、肉体がキノコに変身しはじめたのだ!その裏には国際バイオテロ計画が。伝説のマタンゴが、半世紀ぶりに蘇る。
著者等紹介
吉村達也[ヨシムラタツヤ]
1952年生まれ。ニッポン放送、扶桑社を経て90年より専業作家。朝比奈耕作、氷室想介、烏丸ひろみ、志垣警部といった人気シリーズのほか一連のホラー作品が大人気。ミステリーとホラーを作品の主軸として両立させる数少ない作家のひとり(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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keroppi
73
映画「マタンゴ」は、私にとってトラウマになっている映画だ。子供心に、どんどんキノコの怪物になっていく様と人間の欲望がとにかく怖かった。その映画をベースとしながら、その40年後、50年後を描く。最初は、単にモチーフとしてマタンゴを使っているのかと思っていたが、しっかり映画を踏まえていたのだ。キノコや変身に関しての科学的な説明や、事件の背後にある陰謀を描いていく。怖くはないが、映画を思い出しつつ、面白く読めた。あの映画もう一度見てみたいなぁ。2020/06/13
coco夏ko10角
19
映画『マタンゴ』から50年後の物語。映画は未視聴。冬虫夏草が説明で出てきたことから同著書の『ミステリオ』を思い出す。うぅん、キノコ…しかも動いてるっていうのが。後半は宇宙とか国際問題とかスケールが大きくなりすぎかな。あとマタンゴのこともそんなにはっきりしなくていいような。色々書いたけど樹海探検メンバーがいつどうなっていくのかとドキドキしながら楽しく読んだ。2023/08/03
ペトロトキシン
17
物凄い色物的な作品なのではないかと想像していたのだが、想像を裏切ってしっかりと練られた内容であった。映画『マタンゴ』を見ておれば更に楽しめたと思うと、映画を観ずに本作を読んだ事が残念でならない。よくよく読むとマタンゴは全然悪者じゃないことが分かるし、むしろ富士の樹海でそっとしておいてやれよ!という気分になってくる。2015/03/31
まえすとろ
17
1963年に東宝映画が製作したホラー作品『マタンゴ』の正当な続編として新たに書き上げられた作品。 原作となった映画が「怪奇変身モノ」であったのに対して本書はホラー風味のSF作品とした構成。 それでも原作映画版のプロットは非常に大切に扱われており原作映画の「ツッコミどころ」のフォローもちゃんと有る所など作者のただならぬ『愛』を感じる。マタンゴ怪人がアクションヒーロ物の適役にありがちな怪人全とならずに、あくまでも最初の「怪物」と言うスタンスを守り切ってくれたことで原作映画ファンも素直に楽しめる。 2014/06/21
まえすとろ
17
世代的に特撮映画が好きで「続編」が書かれたとなったら読むしかないでしょ!というノリだけで600ページにも及ぶ量を無事読破。 原作となった映画作品が「怪奇変身モノ」だったのに対して、本書はホラー風味のSF作品となっての続編構成。 それでも原作映画版のプロットは大切に扱われており、原作映画の「ツッコミどころ」のフォローもちゃんと有る所など作者のただならぬ『愛』を感じる。さらにまた往年のマタンゴマニア(笑)への「くすぐり」もサーヴィスとして付与されており、マタンゴ怪人がアクションヒーロ物の適役怪人全とならずに、2010/08/08