内容説明
〈母さん、帰らぬ、さびしいな。金魚を一匹突き殺す まだまだ、帰らぬ、くやしいな。金魚を二匹締め殺す なぜなぜ、帰らぬ、ひもじいな。金魚を三匹捻じ殺す〉―北原白秋の奇妙な童謡『金魚』とともに送られてきた中学時代の同級生からの招待状。東京渋谷区の高級住宅地松濤に建つ洋館を訪れた推理作家・朝比奈耕作を待ち受けていたのは、無限に連なる蝋燭の輝きと美女が二人に死体がひとつ。ワーグナーの歌劇が鳴り響き、金切り声で白秋の詩が朗読される異常空間で何が起きるのか?『館』での殺人の新構想登場。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とろこ
47
遠い日の学生時代、吉村達也を暇つぶしに(失礼)よく読んでいたので、(これも読んだことあったっけ?)と思いながら手にした。読み進める内に、既視感が…。でも、ラストを全く覚えていなかったので、(初めて読んだのかな?)と。ところが、ラスト近く、朝比奈たちが洋館に閉じ込められた理由と真犯人を思い出し、(あ、やっぱり再読だった)と確認。中学3年生の時のクラスメート3人が、死んだはずの同級生から手紙を受け取り、指定された場所へ行くと…。北原白秋の詩や同様を織り交ぜたクローズド・ミステリ。2020/07/30
ばりぼー
43
東京渋谷区の松濤にある洋館で、中学校の同級生3人が監禁されて殺人事件に遭遇。蠟燭が消えると暗闇に包まれ、都会のど真ん中でありながら外部と連絡が取れないという「嵐の山荘」パターンに加え、北原白秋の詩『金魚』をモチーフにした見立て殺人と、サスペンスを盛り上げる舞台装置は十分。「母さん、母さん、どこへ行た。紅い金魚と遊びませう。母さん、帰らぬ、さびしいな。金魚を一匹突き殺す。まだまだ帰らぬ、くやしいな。金魚を二匹絞め殺す。…」この不気味な詩を引用する必然性に欠けるのが少々残念ですが、大変勉強になりました。 2017/07/01
はかり
12
吉村達也は初読。閉ざされた洋館の設定はよくあるが、見取り図がないのが新しい。しかも暗闇の中。三人の男女がいかに脱出するのかと思ったら、姿は見せないが犯人が出てくる。中学生のいじめが原因の復讐劇。結末は意外に題名の惨劇でもなく、悲惨ではなかった。それにしても、北原白秋の詩は怖い。2018/04/29
ちゅう
5
一時期、吉村達也にハマったので、もしかしたら…と思ったとおり、再読。でも、ほとんど忘れていた。街中の洋館に閉じ込められた、朝比奈と、中学時代の同級生の美女2人。白秋の詩「金魚」が朗読される。金魚を1匹突き殺す…。 なんとなく、話がよめ、自分の推理力に感心したが、そう再読でした…(-_-;) クローズドサークルなのかなあ?でも、本棚には、入れない。2019/05/30
Oh!やまびこ
4
読了記録。
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- 和書
- 浄土真宗入門