出版社内容情報
きのうの「好き」と、きょうの「好き」。言葉は、いまの気持ちを伝えリ一瞬のもの。読むこと、詠むこと、口ずさむこと。言葉を観察し、発見するエッセイ集。
内容説明
たとえば万葉集をひもとけば、千年以上前の言葉が、そこにはある。私が口ずさめ、千年の時空を越えて、鮮度を落とすことなく言葉は蘇る。言葉は、永遠なのだ。けれどたとえば、今日私が恋人に言った「好き」という言葉は、今日の二人のあいだで成立している、たった一度きりのもの。言葉は一瞬のものでもあるのだ―。読むこと、詠むこと、口ずさむこと。言葉を観察し、発見するエッセイ集。
目次
ダンボの耳から(トカ弁―婉曲表現の現在;超むかつく―言葉の激辛ブーム;彼氏とカレシ―どっちが本命?;面と向かって―パソコン通信というコミュニケーション ほか)
言葉の味(啄木の無意識の力;啄木の冷めた部分―百首選を終えて;虐げる感覚;白鳥の一首 ほか)
著者等紹介
俵万智[タワラマチ]
1962年、大阪生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。86年、「八月の朝」五十首で第32回角川短歌賞受賞。87年、歌集『サラダ記念日』刊。翌年同書で第32回現代歌人協会賞受賞
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
300
俵万智さんの、とってもよくわかるエッセイ。高校教師を辞めて随分になるが、未だ若干の教師風を残す。前半は言葉をめぐるあれこれ、後半は短歌(古典も近・現代も)を鑑賞する。短歌は自家薬籠中のジャンルであるかもしれないが、言葉に関してもさすがに鋭敏だし、そもそも関心も深い。市井に出かけ、主として若い人たちの言葉に耳を傾け(耳をダンボにし)分析して見せる。ほとんど言語学者である。しかも、読んでいて面白い。この人はエッセイストとしてもまた一流である。2024/03/19
さきん
17
敬語を重ねすぎると慇懃無礼になっていく、言葉に超、激をつける、耳をダンボにする、都会人の単語のアクセントが平板になること、石川啄木のダメな自分を突き放して冷徹に描いた短歌。昔の和歌を31音のまま現代語訳に直す試みなどなど。短歌、日本語を考えるのに良いきっかけになる。短歌のガイドブックにもなる。2017/11/04
ちゃありぃ
14
俵万智さんの言葉に対する尊敬が気持ちよく伝わる本でした。万葉集とか千年以上の前の言葉を、今ここで色褪せないで読めるのって、奇跡なのかもしれない。2013/12/26
双海(ふたみ)
13
本書後半の「言葉の味」は和歌・短歌を通して言葉について考えるエッセイ集。解説は水原紫苑さんです。2014/05/25
ゐわむらなつき
8
まだパソコン通信という言葉が使われていた時代の一冊。2000年前後だからルーズソックスとかコギャルとか若者文化が取り沙汰されていた頃の言葉がどのように変化していったのか、俵さんの視点で見事に分析されている。短歌の英訳では、読み手に委ねられていた細かい情景もはっきりさせなくてはいけないようで、どうも魅力が減ってしまいそうな気がする。後半では石川啄木や与謝野晶子などが残した作品の解説で、こちらは元作品をきちんと知っていればもっと楽しめたんだと思う。改めて日本語の奥深さやその可能性に触れた。2015/12/06
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