内容説明
連翹の黄色、桜の花びらが散り敷いた歩道、生け垣の蔓薔薇―と時をおかず次々に開花する花々に、男は目をうばわれる。そして、春の山菜、泥つきの小ぶりの筍、初秋の栗といったはしり、初物に胸ときめかせる。煩瑣な日常にあっても、四季の微妙な移ろいの節目節目に出会う喜びは常に新鮮だ。企業の中にあっては、様々な人間関係、組織の仕組みをみつめる男の目は冷静で揺るぎない。現役を退く、という将来をイメージする時はどうか?―男を支えている仕事、男と女の日々の暮らしから生まれる感懐を情感ゆたかに描く、102篇。