内容説明
将軍専制体制確立のために粛清に次ぐ粛清を断行し、肉親に手をかけることすらも辞さない非情な天下人、源頼朝。だが、その頼朝を最も悩ませたのは、流人時代に結ばれた妻北条政子の異常なまでの嫉妬心と対抗心に他ならなかった。政子の実家。北条家の長、そして頼朝の義父でもある時政は、功の報われぬ一族の境遇に、恨みを深くしていた。遂には、烏帽子子の曾我兄弟を利用し、富士大巻狩の混乱に乗じて頼朝暗殺を試みるが…。史実に即した大胆な新解釈で、従来の北条政子像にまったく新しい光を投げかけた歴史巨編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
BIN
6
鎌倉幕府を北条政子を軸に描いた作品。1巻は開幕後から頼朝の死まで。吾妻鏡の裏事情をよく解釈し、源頼朝と政子を痛快に扱き下ろしており、頼朝嫌いの私にはピッタシの作品。源氏は代々「殺人の上手」だとか、助平は頼朝の昔の官名である兵衛佐が由来という説があるとかいろいろ面白いことが書いてある。自分の一族を殺しまくるのも源氏の血というものだろうか(足利尊氏もそうだしねえ)。北条政子も夫に劣らず粛清しまくるんだろうが、あまり頼朝以降の歴史は知らないので楽しみにして読みたい。2017/01/27
Holy
1
鎌倉時代に凝っていたので、ブックオフで見つけて2巻まで読む。永井路子版とは違い、こちらの政子さんは夫や子供も容赦なく粛清する稀代の悪女となってます。トンデモ歴史小説っぽくて史実とはかけ離れていそうだけど、ここまで権謀術数に優れた女性政治家が本当にいたなら、歴史として面白いんだけど。2010/04/04
怠
0
幾年も前に夢中に読み、再読したい思っていたけれど著者名や著書名を失念していた。古いメモをもとに探したら、もう絶版済み。隣町の図書館でやっと発見。源氏の御曹司といえども追い詰められて生存のために立ち上がり、敗走後に祭り上げられ、恐妻にびびりながらも冷血に権力闘争に明け暮れる様を描いているのが他の綺麗事のみの英雄物語と違い、さもありなんと感じさせる。流石に無実の藤内光澄を討った場面は嘘くさいと思い、Wikipediaで調べたら本当なのね。いつか吾妻鏡の空白の3年に何があったか分からないかな?★52021/09/26
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