内容説明
源氏の嫡流が3代将軍源実朝で途絶えた今、八幡太郎義家の直系たる足利氏は正統なる清和源氏の嫡流。が、足利氏は北条政権に終始卑屈な追随姿勢で地位を保全してきた。清盛が天下を握ってこのかた、源氏がこれに代わることわずかに30有余年、天下は再び平氏出の北条に奪われてすでに110余年の歳月が流れた。「我が7代の子孫に生まれ変わりて天下を取るべし」と置文を残した八幡太郎義家、7代目の後胤家時は家運挽回をはたせぬ恥辱に「わが命をちぢめても3代のうちに天下をとらしめたまえ」と鶴岡八幡宮に願文を捧げ、割腹した。高氏は家時からまさしく3代目、実朝以来、源氏が天下を取る、その気運は高まっていた。
感想・レビュー
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BIN
1
元弘の変から建武の中興まで。この本を読んでいると、著者は足利高氏嫌いなのではと思えてくるほど、暗くて陰険で狡猾に描いている。楠木正成らの活躍の方が目立ち、高氏はむしろ返忠しかやってないという本当に主人公かと疑いたくなる。さて下巻はどうなることやら2011/06/11
松宇正一
0
新田氏と足利氏の立ち位置の違いは、北条政権下での源家の嫡流としての扱いの差にも現れており、それがそのまま鎌倉幕府滅亡後も義貞と高氏の目指す理想と行動の違いに繋がっているようで面白い。武士としての誇りを重んじ、義に従って兵を挙げた義貞、北条を討って天下を取るべしとの家訓が受け継がれた足利家の家風と高氏、両者のコントラストが実によく描かれている埋もれた名著発掘。★★★★つ。2014/12/17