出版社内容情報
江戸の天才浮世絵師・鈴木春信に贋作の証拠が!? 美術品の「探し屋」仙堂耿介は、「春信」とともに消えた男・遠藤の捜査を依頼され、「春信」が発見されたNYにとんだ。現地で耿介が探り出したことは…?傑作ミステリ
内容説明
歌麿・清長とともに江戸の三大美人絵師として名高い鈴木春信。彼の数点しか現存しない希少な肉筆画が発見され、七億円で安本商事に落札された。だがその作品からは決定的な贋作の証拠が見つかり、再び葬り去られる。浮世絵専門の捜し屋、仙堂耿介はその「春信」と共に蒸発した男・遠藤を捜す依頼を受けた。彼を追ってNYに飛んだ耿介を待ち受けていたのは、あの美術探偵塔馬双太郎だった…!「春信」に隠された驚愕の真相とは!大胆な歴史推理が堪能できる本格浮世絵ミステリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しーふぉ
15
浮世絵の薀蓄を自然と覚えることが出来るのが嬉しい。2014/02/11
icchiy
10
これも面白かったです。かなりハードボイルド的で春信を巡る殺人事件を追って物語を進んでいくのは少し性急で登場人物もたくさん。浮世絵に関する知識も同時に得ることもできます。おススメ。2019/11/04
ryohey_novels
5
鈴木春信の作品を巡る殺人事件の謎を美術品の探し屋である耿介が解いていく作品。作者の代表作の浮世絵三部作の続編として、津田(名前のみ)や塔馬の登場は非常にエモい。春信と司馬江漢という一般知名度の低い2人の歴史や特徴を知れるのは非常に良かった。事件自体は脱税や複雑な売手買手の利害といった俗世的でかつ込み入っており読む上での難点だが、舞台をNYまで広げ、絵探しから殺人事件まで広がる謎を解決していく展開は面白かった。江漢キリシタン説なる、高橋氏お得意の突飛でかつ興味深い学説も終盤に登場しファンも満足の仕掛け満載。2023/01/25
カノープス
3
浮世絵探偵をもう一度。小説のフォーマットで読む高橋の春信論。『日本人は日本人でなくなっている』という記述が頭にこびりついて離れない。日本に住み国籍も見た目も日本人だが、自分たちの国の事は何も知らない外国人のような日本人。日本の良さや美徳を外国人から教わり、日本の良いもの良いところを文化的な価値をもって再評価されれば、急にありがたがり自分のすぐ隣に巨大なお宝が眠っていることにハッとする。まさに今の日本・日本人ではないか。それが三十年以上前、このときの高橋の実感として、すでにあったという事に驚いた。2025/01/21
今日は決算前
2
○ 高橋克彦の浮世絵3部作に続く、浮世絵ミステリー。今回は三大美人絵師の一人である鈴木春信の浮世絵を題材に、企業の闇と人々の欲にまみれた謎を浮世絵の捜し屋と3部作で御馴染み塔馬が紐解いていく物語。3部作は浮世絵師の謎解きの進捗と共に事件が解決されるストーリーであったが、今回は春信の絵である必要もなく何かの贋作であっても良かったのではと思わせるストーリーであることは少し残念であった。ただ、かの司馬江漢が2代目春信?と言う研究が絡んで来る事等正に高橋浮世絵ミステリーであった。【図書館本】2022/03/25