内容説明
「これを登るのか…」真正面にナンダ・コートの北壁が立ちはだかる。悪絶な様相をみせる北壁は背筋が冷たくなるほどの凄みがある。堅雪にピッケルを突き立て堀田隊長は息を呑んだ。苦しんでいるのは他の隊員も同じだ。極度の疲労、氷のように冷え切った体。凍傷で手足の先が切り裂かれるように痛む。猛吹雪、雪崩、病状の悪化、予想外の事態…。栄光の頂上は近い―。取材・構想10年、壮大な実話に基づいた日本山岳の小説の大作。
著者等紹介
谷甲州[タニコウシュウ]
1951年、兵庫県生まれ。73年、大阪工業大学土木工学科卒業。青年海外協力隊員(ネパール)、国際協力事業団(現・国際協力機構)プロジェクト調整員(フィリピン)などを経て、86年より執筆活動に専念。96年、『白き嶺の男』で第十五回「新田次郎文学賞」受賞。日本山岳小説の第一人者である(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ichi
21
【図書館本】上巻よりも各登場人物の感情が表現されていて読むペースが上がりました。実話を元にした小説であり、戦前のヒマラヤのナンダ・コート初登頂間際からは一気読みでした。上下巻通して感じたのは事実だけを忠実に描こう。というだけのストーリーだった感触です。2017/10/21
J.T.
2
淡々とした文体に好感が持てました。もう少しそれぞれの隊員の感情について、書いてあってもいいとも思いましたが、逆にこのくらいの温度で良かったです。登頂するところなどは、実際に本人から聞いた言葉だけで構成しているから、言葉、情景が少ないのだと思います。それは著者が隊員の方に敬意を表して、自分の想像を入れる余地を与えなかったからだと思います。著者の他の本は読んだことないですが、好感が持てました。2011/10/31
nizi
1
航空宇宙軍史もそうだが、谷甲州は余計な感情を交えず書くことが多いため、逆に物足りなさを感じることがある。ただこの本はそれがいい方向に作用することが多々あった。具体的に言うと寒さの描写で、読んでるうちに身体が冷えてきた。2023/09/22
gon
1
下巻読了。初の日本隊によるヒマラヤ遠征を綴った話。苦戦を強いられながらも登頂に成功をおさめるストーリーはなかなか読み応えあった。2015/07/28
いちはじめ
1
まぁ、面白いからどうでもいいのだが、どこまで史実でどこまでが作者の脚色なのか、ちょっと気になる2005/11/21