内容説明
運命の子供は青い目をしていた。父、鄭芝竜は商人であったが、その実海賊。中国、安平鎮に城を建て、息子を後継者にすべく呼び寄せた。十二年後、息子は科挙試験にも合格し、官僚への道を歩みはじめる。しかし、そのころ明と清は戦争をはじめた。父は息子に指揮官になることを望んだ。劣勢の明を再興すべく、平戸にのこされた母を大陸に呼ぶことを条件に、来るべき英雄・鄭成功は運命に身をまかせた―。近松門左衛門の英雄伝「国姓爺合戦」の世界が、奇才・荒俣宏の手を経て蘇る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
OKKO (o▽n)v 終活中
7
あくまでアラマタ流だが面白かった! ずいぶん長くかかっちゃったけど! ◆明末南シナ海を制した鄭成功、父芝龍と決別した後の後半生。しかしこれで本当に「制した」といえるのか? これは小説だ。特に下巻で身近な人々を次々に失い狂う成功の孤独はやるせなく膿む。だが台湾で明鄭時代とまでいわれる一時代を作った男の最期はこんなものか? ◆明日混血の成功の行動原理は主として日本式儒教に天主教の信仰が載ったものであるようだが、やはり春秋戦国時代以来中国で覇を夢見た人々と同様の感覚が前景化しているように読めた ◆女たちが面白い2018/12/15
小林ミノリ
0
父親の祖国である明と清の戦に巻き込まれるテイセイコウ、清との戦に破れるも台湾からオランダ軍を排除することに成功し独立の礎を築くのでありました、近松の人形浄瑠璃、国性爺合戦の元ネタとなった史実を基にした歴史小説。