内容説明
「占星術殺人事件」の直後、御手洗と石岡のもとを高沢秀子という老婦人が訪れる。最初はひやかしの客かと思われたが、秀子の知人・折野郁恵の話を聞いた御手洗は「これは大事件ですよ」と断言する。教会への礼拝中、雨が降り出すや郁恵は顔面蒼白となり、その場に倒れ伏したというのだ。その奇妙な行動の意味とは?ロマノフ王朝から明治政府に贈られた“ダイヤモンドの靴”を巡り起きた事件を御手洗の推理が解き明かす。
著者等紹介
島田荘司[シマダソウジ]
1948年広島県生まれ。武蔵野美術大学卒業。81年『占星術殺人事件』で衝撃的デビューを飾る。本格ミステリー再典の旗手として数々の名作を発表。環境問題、死刑制度等への発言が注目されている。米国ロスアンジェルス在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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スター
46
名探偵、御手洗潔が活躍するミステリ作品。横浜の馬車道に事務所を構える御手洗は、占星術殺人事件を解決したため有名になる。 が、そのため仕事の依頼ではなく、ただ単に有名人を見たいだけの訪問者も時折現れた。ある日事務所に来た女性もそんな野次馬の1人で、御手洗に世間話だけして帰ろうとしたが、その話に、意外な事件が隠されていた事に、御手洗は気づくのだった。 好きな著者の好きなシリーズですが、この作品も面白かったです^ ^2021/11/15
Yuki
43
あまり外れのない御手洗のクリスマスもの。御手洗のもとを訪れた秀子さんの話を発端に、過去にロマノフ王朝からもたらされたダイヤモンドが現代に絡むハートウォーミングミステリ。御手洗って「数字錠」でもそうだけど、子どもには優しいサンタクロースになるよね。2019/04/22
Tetchy
28
『占星術殺人事件』を解決した数ヵ月後の話。御手洗シリーズの、短編小説のような意匠を凝らしたエピソードや、最近の科学技術の話など、そういった肉付けが一切無い、事件のみを語った生粋の本格推理小説。セント・ニコラスのダイヤモンドの靴を巡って右往左往する物語で、中身は簡単なのに、なかなか目的のダイヤモンドの靴までに行き着かない。まるで乱歩の通俗小説を読んでいるかのようだった。まあ、御手洗物入門書として、長さといい、ストーリーといい、最適の1冊かな。2009/10/21
やっちゃん
26
今作はトリックも常識的な心温まるミステリだった。健気な美紀ちゃんが不憫だったので御手洗くん良い仕事してくれました。クリスマスに相応しい綺麗なオチだった。1週間前に読みたかったな。これ悪魔将軍の靴というか足だよね。2022/12/30
大阪魂
18
御手洗さんシリーズ何冊めかなあ?短かったから一気読み。トリックは暗闇坂とかに比べたら地味やったけど、相変わらずキレキレな御手洗さん!威張り屋さんへの手厳しさ、美紀ちゃん優しさ、やっぱ御手洗さんは素敵やねー!島田さんはロシアの歴史が好きなんやろなあーエカテリーナ女帝とかロマノフ朝とか榎本武揚とか登場してきたりして歴史の裏話も面白かった!2016/09/17