内容説明
漸く王都奪回の大軍をおこしたアルスラーンに、横あいから強大な妨害者が現われた。歴史的な敵国トゥラーンがパルス領内に侵攻してきたのだ。アルスラーン軍は反転急行してペシャワール城に再入城した。智将ナルサスの奇抜な戦略が大勝利をもたらした時、アンドラゴラス国王夫妻は自力で虜囚の身から解放され、遠い脱出路を経てペシャワールまでやってきてしまったのだ。父王の命で、アルスラーンは、一人ペシャワール城を立去った、ただ一羽の鷹と一頭の馬だけを伴って。パルス歴321年6月、炎熱の季節のことであった。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふみあき
47
本書刊行前後に亡くなった手塚治虫について、あとがきで触れていて、「この戦後最大のクリエーターのトータルの業績に何ひとつ公的に報いることのなかった日本という国」はケシカラン云々と憤っている(この直後、時の政府によって叙勲されている)。このころまでの著者はサブカルチャーに何かと色目を使ってたけど、その後、オタクの右傾化が言われ出して、麻生太郎のような人が出てくるに及んで、中国歴史小説や児童文学を書き出したりして、どうもサブカルから距離を取ろうとしてるんじゃないか、と思える時期があったような、なかったような。2024/07/19
karatte
45
再読。連勝を重ねているにも拘らず、苦難続きの王太子殿下。お国のために頑張ってきたのに、体のいい追放を父王に言い渡され単騎(&鷹一羽)で陣営を後にするその寂しさよ。2巻にも一行が離れ離れになるシーンがあったけど、あれは計画的な一時離散だったわけで、今回のは数段辛いですなあ……結局いつもの面々が合流してくれるのだけど。あとギーヴの冒険譚が面白かった。2018/01/08
Tetchy
37
アンドラゴラス王脱出。そして皮肉な事にアルスラーンがペシャワール城を去ることを強要される。智将ナルサスもこの展開は読めなかった。実はアルスラーンの最大の敵は親父だったの云うのがわかる巻。この親子、水と油の関係が浮き彫りになる。2009/04/03
扉のこちら側
34
初読。2015年500冊め。まさかの国王の仕打ちに唖然。まだまだ息がつけない。2015/04/25
あなほりふくろう
21
あとがき「アルスラーン戦記という作品は、とても多くの時間と手間を要するのです」おい(憤怒) スタートしてから今年で28年たってますが? 今回は主にパルス勢の方で人物配置が大きく動いた巻。ラストの「もはや征馬は孤影ならず」これからの困難に一条の光が差し込んだようで、次巻への期待に胸膨らませてしまう(悔しい、でもry)。そしてここで聖剣ルクナバードの封印が解け、ザッハークが復活。2014/05/17
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