内容説明
「神も仏もあるものか」という言葉は、日本人の宗教態度を、はからずも二つの側面から語ってみせた。ひとつは、日本人にとっての「神」は、試練や受難を経験することによって信仰にますます磨きのかかる、キリスト教的な、きびしくも全能な唯一神ではないこと。いまひつとは、神さまも仏さまも同時にまつり上げて矛盾を感じない“無限抱擁”的態度が日本人の宗教の基底にあること。日本の宗教史はその絢爛たるサンプルのようなものであった。人権を与えられ、繁栄を獲得した今、宗教はどう機能し得るか。
目次
全調査宗教法人X会
神々の輸出
小田実「生」と「死」
新聞記者が雲水になってみた
密教の風景