内容説明
花の季節、花見客で賑わう乗合船で起こった強盗騒ぎで、若い娘が機転を利かせ、強盗を川に投げ込んだ。人々がはやし立てる中、「女のくせに見苦しい」と嘲笑した侍に腹を立てた娘。だが、旗本の次男坊と料亭の蔵前小町はやがて恋に落ちた。時は幕末、時代の波が二人を飲み込んでいく…。「御宿かわせみ」シリーズの原点ともいうべき表題作をはじめ、平岩文学の原型を凝縮した七編を収録する短編集。文字が大きく読みやすい新装版。
著者等紹介
平岩弓枝[ヒライワユミエ]
1932年、東京生まれ。日本女子大国文科卒。小説家を志し、戸川幸夫、長谷川伸に師事。59年、「鏨師」で第41回直木賞受賞。91年、『花影の花』で第25回吉川英治文学賞を受賞し、98年、第46回菊池寛賞を受賞。時代小説から現代小説まで幅広く手がけ、テレビドラマや芝居の脚本などでも活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roomy
14
ライブラリー本。初平岩作品。短編集でとても読みやすくどれも良かったが一番はやはり表題作かな。こんな一途に思う相手がいるのは素敵だな。2012/10/04
OKKO (o▽n)v 終活中
11
図書館 ◆リアル友のオススメで、まずは『出島阿蘭陀屋敷』に涙す。伊藤昌輝氏の解説によれば「長崎犯科帳」にわずかに記された実際の事件をヒントにそれを膨らましたものだとか。収録の他作品も同様で、実在の人物をタネに意表を突く変奏が次々に繰り出される。平岩弓枝初読みだが、今まで興味を持たず知らなかったのが悔やまれる ◆特に平岩氏の『絵島の恋』『日野富子』の料理法にはただただ舌を巻くばかり ◆『江戸の娘』の情感に強く胸打たれる ◆時代物が苦手なのでテーマを選ぶ必要があるが、今後も折にふれ平岩作品を読んでみたい2017/12/10
jima
11
短編7作品。なかなか良かった。絵島、日野富子、渡辺綱などの歴史上の人物にスポットを当て、これまでの説とは違った角度から物語にしており、面白い。「江戸の娘」は「御宿かわせみ」へとつながる原点。2013/05/02
kyon817
9
平岩弓枝さんが20代から40代の頃、書かれた短編集。どの作品も人間が生き生きしていて、とてもよかった。「出島阿蘭陀屋敷」、「御宿かわせみ」にも似た話があって、最後切なくて忘れられない作品でしたが、こちらも心に残ります。「御宿かわせみ」の原型になったという「江戸の娘」も一途な恋を応援したくなります。2010/12/24
rokoroko
8
短編だが味わい深い。さすが平岩氏作品。2016/11/21