内容説明
山ふところに抱かれた草津の温泉旅館にきよ子は隠れるように暮らしていた。20年前に捨てられた女は、それっきり地獄をのたうって生きて来た。あの男が今、客として現われた。功なり名をとげた画家として。きよ子は決して男を許していなかった。あの気違いじみた殺意は、今もきよ子の胸の奥のほうで静かにくすぶっていた。愛の地獄に生きる女たちがかなでる愛の旋律。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
rokoroko
17
平岩氏のこの題名の本読んだ事ないと手に取った。古い!つい出版年を見てしまった。昭和35年から44年の間の作品とか。63歳の私が中学になるかならないかの時代。今の若い人は受け入れられないだろうなぁ~と時代や考え方の違いに思いをはせてしまう2021/05/12
あんこ
2
湯の宿の女などの短編集の中から湯の宿の女について。 奥村の男特有の自分勝手さに最後まで付き合ったきよ子の度胸には尊敬します。自分は多分そこまで貫けないので。黙読でも朗読でもストーリーが頭に入りやすいお話でした。面白かったです。2018/03/27
ycoco
2
S40年前後発表の短篇10作。時代は違えど、登場する女性たちの心の「揺れ」をリアルに実感できるのはやはり同性ゆえ?表題作『湯の宿の女』の結末はあまりに切ないので全篇辛い話かと思いきや・・・。色々な女の生き様が描かれている。『チンドン屋の娘』は元気が出る一作。『お人好し』の和代って、さしずめ現代で言うところの「パラサイトシングルのキャリアウーマン」なわけで。共感できる女性は多いだろうな。全編通して当時の文化背景や恋愛・結婚事情も覗い知れて面白い。2010/03/14
Eri Asa
1
悲しい話、救いのない話が多かった。不幸を背負った女性ばかり。男嫌いになりそう(笑) 明るくて爽やかな話も3編くらいはあったので良かった。2017/08/25
一柳すず子
0
健気に生きて、幸せがやってくる話もあれば考えすぎたり計算しすぎたりしてうまくいかない話もある。だいたいが金のある男に見初められたいという話。「お人好し」のお姉さんは自分で稼いでいるけど、結局家に、弟に縛られてしまう。前時代的ながら、案外まだ多いのかな、こういう価値観。2015/03/24
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- 和書
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