内容説明
第二次世界大戦後、日本は大菩薩峠を境とする「壁」で東西に遮られ、東京を首都とする共産主義国家の東日本と、大阪を首都とする資本主義国家の西日本に分断されていた。西日本では「ちゃうか」などベタな大阪弁が標準語となり、「昔の標準語」はマイナー方言になっていた―。そんな日本にやってきたアメリカ黒人のCNN特派記者「私」を待ち受けていたものは…!?戦後分断された東西日本の統合をめぐる壮大奇怪な真贋日本史。
著者等紹介
矢作俊彦[ヤハギトシヒコ]
1950年、神奈川県横浜市生まれ。東京教育大学附属駒場高校卒。高校在学中からダディ・グースのペンネームで漫画家として活躍。72年、早川書房の「ミステリマガジン」6月号に、「抱きしめたい」を発表。21歳で小説家としてデビュー。78年には初の長編『マイク・ハマーへ伝言』を刊行し絶賛される。小説の他にも、大友克洋との合作コミック『気分はもう戦争』、日活アクションのアンソロジー・フィルム『アゲイン』、劇映画監督作『ザ・ギャンブラー』などが話題に。また、2003年に発表した長編『ららら科學の子』が第17回三島由紀夫賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
猫丸
11
知的優越感という嫌らしい感情をイヤというほど惹起してやまないネタの数々。これってアレでしょ?とか、アレをこう言い換えるか!と北叟笑む年の暮である。越山会の女帝は70を超えてなお妖艶、完全にストライクゾーンだな。小池都知事なんてメじゃない。日本と富士山は大変なことになっているが、そんなの関係ねー。P.M.と李香蘭のコピーが肩を並べる屋根の上は事も無し。なべて平和なニッポンの日常が広がる。まったくタフな国だ。「お父さんお母さん、マルクスさんレーニンさんも大切にしよう」旧東日本船舶振興会に擬せられた集団の標語。2020/12/02
CCC
10
この本はすごかった。作中の日本は滅茶苦茶、というかハチャメチャだが、どこまでいっても日本だった。現実とのつなげ方、ひっつけ方が非常に上手く、著名人が意外なところにいたり、史実が違う形で再現される部分を読むたびに、ありえないと思うと同時に説得力を感じてしまう。そんな歴史改変もの。著者の思う日本の(あるいは世界の)あるべき姿、みたいな理想が裏に透けたりしていないのも評価点。2017/09/22
塩崎ツトム
10
読メの登録者数が100人前後しかいないのが信じられないくらい面白い。仮想の歴史と本物の歴史との壮大なパロディ合戦の中で、主人公は父の心の女性「ハナコさん」を追い、巨大な陰謀に食い込んで行く。物語の着地点も素晴らしく、久しぶりに快適な読後感を味わえた。本の厚さにひるむなかれ。さあみんな「あ・じゃ・ぱん!」を読むんだ。2015/02/19
Yuki Ban
8
こんなに意地の悪い本は初めてだ。全く読めなかった。原作が日本語の小説でここまでわからないのは初めてだ。僕の知識不足と、推測力・読解力のなさと。何を言っているのか、何の比喩なのか、何をディスっているのか、わからない度に作者にコケにされてる感覚に陥る。非常に不愉快な本。不愉快になってるのは自分が原因というのも非常に不愉快。不愉快のループ。上下巻で1500ページ、1ページ19行もある。ある意味苦行であったが、なにか大きな山を1つ乗り越えたような気がする。全く新しい読書体験であった。もっと世の中を知ろうと思った。2018/09/05
METHIE
7
別のアカウントでも感想を書いたが改めてこちらでも、黒人テレビマンを主人公に東西分裂した日本を舞台で日本とは何かを描く。 吉本の女社長が関西の首相というバカバカしさを筆頭に、 兎に角、1ページに一度以上ユーモアを書かないと気がすまないという作風に圧倒される。 おち