出版社内容情報
『ロング・グッドバイ』の二村永爾シリーズ、第2弾!横浜医科大学の保存室から一体の屍体が消えた。捜索を依頼された神奈川県警捜査一課の二村永爾は、生前の友人関係を調べ始めるが、その数日後、屍体は保存室に戻っていた――長編ハードボイルド。
矢作 俊彦[ヤハギ トシヒコ]
著・文・その他
宮澤 大[ミヤザワ タイ]
著・文・その他
内容説明
横浜医科大学の処理室から一体の屍体が消えた。屍体は江口達夫という医大生のもので、学術解剖用に遺体を提供するという遺書が死後発見されていた。消えた屍体の捜索を依頼された神奈川県警捜査一課の二村永爾は、江口の友人二人を訪ねるが、その数日後、屍体は処理室に戻っていた―。『ロング・グッドバイ』の二村永爾シリーズ第2弾!傑作長編ハードボイルド。
著者等紹介
矢作俊彦[ヤハギトシヒコ]
1950年、神奈川県横浜市生まれ。東京教育大学附属駒場高校卒。高校在学中からダディ・グースのペンネームで漫画家として活躍。72年、早川書房の「ミステリマガジン」6月号に、処女作「抱きしめたい」を発表。二十一歳で小説家としてデビュー。78年には初の長編『マイク・ハマーへ伝言』を刊行し各方面で絶賛される。小説の他にも、大友克洋との合作コミック『気分はもう戦争』、日活アクションのアンソロジー・フィルム『アゲイン』、劇映画監督作『ギャンブラー』などが話題を呼んだ。また、2003年に発表した長編『ららら科学の子』が第十七回三島由紀夫賞を受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
45
消えた屍体というモチーフにスタイリッシュな世界観。ハードボイルドの魅力を強く感じました。2020/12/24
Schunag
4
3読目か4読目。モルグから消えた死体とオースチン・ヒーリーということはカーター・ブラウンへのめくばせがまずあって、題名とラストシーンは『深夜プラス1』。複雑怪奇なプロットをスタイリッシュきわまる文体と会話で描いているため決してわかりやすくはなく、とはいえ華麗な語り口を玩味するだけでもじゅうぶんに価値はある。フリーランスの警官がフリーランスでいられる夏の終わりから秋のはじまりにかけての「休暇」の物語。植民地式の豪奢が真夜中の静けさに息をひそめてうずくまる最後の2章の場面が忘れがたく美しい。2021/10/05
azur
2
強力な感染力のある小説世界。無邪気にも、いいなー、横浜も一度住んでみたいなーと思わせる。もっとも、仮にそんな機会があっても、自分なんかはこの小説に出てくる車に乗ることもなければ、米軍将校が出入りするバーに行くこともないし、せいぜい何となくアメリカぽい喫茶店でハンバーガーを食って少しだけ悦に入るくらいのことしかできないだろうけど。2010/02/11
ほむほむ
1
ハードボイルドとは文体のことだ、と矢作俊彦が何処かで語っていた。生き方のことではないのである。そのことを日本で誰よりも知っている氏の「ハの字」小説。 非番の警官、二村永爾が依頼を受けて休日探偵となる。夜気に潮の香りを探すように都市を彷徨う。人を渡り歩く内にバーで美女と出会う。気の利いた科白、そしてグラスの中で鳴る氷。硬質な豊穣さを引き締める活劇。そんな二村の見せる世界に単純な僕らが単純に憧れている時点でハードボイルドの土壌は埋め立てられ、もはや見え無くなってしまったのだろう。そう、横浜の海のように……2012/10/08
kama
0
★★1/2 物まねほど極端になるので、本書の会話、減らず口、比喩はとても不自然で疲れる。また人物設定やプロットも破綻している印象。もしくは医大生二人の姓(田沼、石山)から推測されるようにある種冗談か?あと表4の説明も誤解されそうだ。2016/10/25