内容説明
松本茂樹が死んだ。スピード違反でパトカーに追跡され首都高速から墜落したのだ。だが、茂樹とともにポルシェ九一一sタルガを共有していた、マイク・ハマーと仲間たちは腑に落ちなかった。茂樹はハンドル操作をあやまるようなやつではない。茂樹の死には何か別の理由があったのではないか。やがて真相をつきとめたマイクは、仲間たちと警察への復讐を計画する―。発表当時、ニューハードボイルドの旗手と謳われ絶賛された、著者の幻の処女長編。
著者等紹介
矢作俊彦[ヤハギトシヒコ]
1950年、神奈川県横浜市生まれ。東京教育大学附属駒場高校卒。高校在学中からダディ・グースのペンネームで漫画家として活躍。72年、早川書房の「ミステリマガジン」6月号に、処女作「抱きしめたい」を発表。二十一歳で小説家としてデビュー
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とも
25
★★★★☆渋い!としか言い様がない。時代は戦後の雰囲気も残る高度成長時代。主人公たちは、その時代の不良少年が大人になりけたリッチな若者でポルシェやキャデラックを乗り回しながらも死んだ連れの死亡原因を探るという、ハードボイルド。時代は変われど、その頃の気持ちは未だ変わらず。郷愁が蘇る1冊。2014/08/26
GaGa
13
練馬ナンバーが東京のお百姓さんなら、O宮ナンバーの車を運転している私は一体何と表現されるのか(笑)まあ、多少鼻につくところはあるが、良質な和製ハードボイルド。ラストのカーチェイスはろくでなしたちの胸を打つ。2010/07/16
ネムル
7
「ホウレン草を食べすぎたポパイのような」県警の改造パトカーを迎撃する物語。友人を殺された復讐という名目を飛び越え、青春小説そのままにかっちょく突っ走る爽快感と苦い結末。「“ポーカーでせしめたのかい?”松本がそんな気のきく台詞を吐くはずがない」なんていうけど、洒落た台詞まわしが最高にかっこいい。とりあえず、矢作俊彦を追いかけよう。2009/07/20
giant_nobita
5
車に関わる専門用語や内輪の言葉が多く、特に情景描写がわかりづらいが、比喩は抜群に上手く、内的独白を織り交ぜ視点の交代を駆使した地の文と知的かつ生きのいい会話文は、デビュー作とは思えない完成された魅力を放っている。終盤のカーチェイス・シーンの迫力は圧巻。2015/05/05
連雀
3
高校生の頃に出会って、それまでの嗜好が変わるほどの衝撃を受けた作品。もう四半世紀も前のことですけどね。なんとなく久しぶりに読みたくなって本棚を漁って古い文庫本を発掘して再読しました。私自身すっかりくたびれてしまいましたが、それでもなお、あの頃の気持ちを思い出しましたね。傑作です!2014/04/13
-
- 電子書籍
- Fairy gone フェアリー ゴー…
-
- 電子書籍
- <MORE digital photo…