内容説明
素人画家・美保子の「赤い雲」の絵を買おうとした老人が殺され、その絵も消えた!!絵のモデルとなった瀬戸内海に浮かぶ寿島は、原発誘致にからみ村が二分され、大きく揺れ動いていた。そしてまた新たな殺人が…。莫大な利権をめぐって、平家落人の島を舞台にくりひろげられる骨肉の争い。絵に秘められた謎と殺人犯人を追って、私立探偵浅見の名推理が冴える!!長編伝説推理。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chantal(シャンタール)
90
【光彦さんと行く47都道府県】今回の出張のお供は10県めの山口県。風光明媚な瀬戸内の町を舞台に原発の建設を巡る殺人事件。政治家も絡み、なかなかに社会派のお話だった。前回の高知県に続き、今回の山口県の「寿島」も平家の隠れ里と言う設定だった。それはまあ、エッセンスと言うか、あくまでも原発を巡るお話がメイン。前回の恋の行方が気になって引き続き第三作めを読んだが微塵も出て来なかった。そして今回のメイン女性がやけに光彦さんに露骨にすり寄って来るのでかなり不快。と言うかジェラシー。あまり相手にされてなかったけどね😁2020/08/14
あつひめ
82
今の時代を先読みしたような作品だった。いや、それとも長い年月日本人は同じ問題を抱えて生きてきたのかもしれないのか。原発と言うものが環境だけでなく人間関係にも、経済にもどんな問題を引き起こすか。現実には殺人などということは起こらないだろうが、それ以外の諸問題は小説も現実も同じかもしれない。光彦と母のやり取りが軽快でテレビドラマ同様、殺人と言う生臭ものを和らげる効果があるような気がした。飛鳥山の桜もきれいなんだよなぁ~と昔を思い出した。2014/04/04
備忘録
20
浅見光彦シリーズ3作目 殺人に巻き込まれ行方不明となった素人絵の行方を捜すという形で光彦も事件に係るが 当然のように捜査は殺人の方に比重が置かれていく 旅情ミステリより、社会派ミステリ感が強い 終わってみれば、タイトルそのものがしっかり意味があったんだなという印象2025/07/02
葵
12
浅見光彦シリーズ3作目。あっという間に読めるのでどんどん読んでしまいそう。今回は山口県の島「寿島」の原発建設を巡る問題が描かれている。昭和の時代にこの作品のモデルとなったであろう「祝島」の原発反対運動は40年近くたった今も続いている。 さて…前作で光彦さんの恋人となった佐和さん、全く触れられていない!この作品あたりから、シリーズものとして続けていくことになったのか?「女性に奥手」なキャラ付けが濃くなっていた。まぁ、ずっと佐和さんが恋人ならば、ここまでの人気シリーズにはなり得なかっただろう。2023/04/02
MASA123
9
原発誘致に絡む重厚な背景で読むのに時間がかかった。政治家、地元有力者、賛成派、反対派、次々に現れる人物を、頭の中で整理して、浅見光彦といっしよに殺人事件の真相をつきとめていく。テレビドラマであれば、短くまとめられて、わかりやすいストーリーですが、小説のほうは、なかなか大変でした。ロープウエイを使わず、麓から歩いて登る登山のように、愉しみました。2023/08/21