感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
オフィーリア
79
記念すべき第一回横溝正史賞受賞作品。冒頭から「大きくなったら、お父さんに復讐してね。」と娘に呟く母親というドロドロとした地獄のような人間ドラマを予感させる幕開け。そこからは連続殺人事件とその裏に見え隠れする謎の巫女、青蛾の影を追う登場人物たちというミステリが始まります。タイトルの示す、母が子に残した物の正体は・・・。第一回の受賞作にふさわしい、何よりも怖いのは女の情念という横溝正史イズムを感じさせる作品でした。2022/04/07
みっぴー
63
第一回横溝正史賞。お母さんとあなたがこんなに貧しいのは、お父さんが捨てたせいなの。だから、大きくなったら、お父さんに復讐してね。ーー凄い。凄いぞ。まとわりつくような気味の悪さは、THE横溝。政界に幅をきかせる謎の占い師や、政治と官僚の裏話などは、THE松本清張。好みの問題があろうかと思いますが、私は大満足でした。連続殺人ものですが、トリックはありません。どちらかと言えば、捜査ものです。ラストに待ち受けるどんでん返し。「マジか、、、」となること必須。映画も視たいですなぁ。2017/10/18
たか
56
【再読】第一回横溝正史賞受賞作。 7歳になる麻矢は、古アパートで母真弓と2人暮らしをしていた。麻矢は真弓に日夜写真を見せられては『自分たちを捨てた父親にいつか復讐を』と教え込まれていた。そして30年後に起こる事件。その背景には、一人の女の悲しい運命が隠されてた…。 読後のやるせなさ、いい知れぬ恐怖、救いのない真相と結末。人の心ほど、怖いものはない。 映画化もされ話題になったが、童謡の物悲しい歌や日本人形、そして岸田今日子が、マジで怖かったのを覚えている。B評価2021/02/14
背番号10@せばてん。
20
【1981_横溝賞】【1981_週刊文春ミステリーベスト10_2位】1985年9月3日読了。当時、この人は化けると思いましたが、書店から全く見かけなくなってしまいました。残念。1985/09/03
ROOM 237
18
横溝正史大賞受賞の昭和ミステリ。人がやたら沢山出てきては突然死んだり名前を変えたりするから、メモしながら読めばよかった…。切っても切れない親子の血と業を追うルポライターの目線で謎の巫女を辿るストーリーで、正直こんなに間に人を入れたり戦後に遡ったりされたら訳がわからない。海馬が死んでる私は犯人当ててやろうという気概も起きず、最後まで気をしっかり持って読むだけでしたw。ただ著者は気味の悪い描写が非常に上手い。虫やカビなど触れたくないモノの使い方が卓越しており、そういった雰囲気作りは好きでした。2022/12/19
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