内容説明
一生のうちに、ほんの一つか二つ。きれいに光る、素晴らしい瞬間。数は少ないけれども、きらめきを実感できる灯、人生にはそれさえあればいい―。たとえばあの頃、私たち夫婦の心は通じ合っていた。まだ、連れ合いは元気だった。生きてきた道筋をふり返り、ふと気づく。自分がいつのまにか手にしていたものに。ささやかだけどかけがえのない一瞬が、確かに自分にもあったことに。短篇の名手が手がける、12の追憶の物語。
著者等紹介
阿刀田高[アトウダタカシ]
1935年東京都生まれ。作家。早稲田大学文学部卒。著書に、短篇集『ナポレオン狂』(直木賞受賞)ほか、『新トロイア物語』(吉川英治文学賞受賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gonta19
119
2008/3/30 Amazonにて購入。 2018/4/26〜4/27 10年ものの積読本。阿刀田さんらしい短編集。12の心残りを記した作品。いずれも相変わらず上手いよなあ。名前を伏せて作品を読んでも、阿刀田さんなら当てられるような気がする。そんな安定感。2018/04/27
KAZOO
47
ブラック的な要素はありません。またあんまり男女のごたごたとした絡みというのもないので私にとっては比較的読後感がすっきりとしたものになっています。12の短篇で読んでいてもゆったりした感じが残ります。その中でルナールの博物誌に関することが書いてある短篇が印象に残りました。2015/04/17
takaC
29
公実子さんのカバー画に釣られたのは内緒。覆せない手練れの綽々さ…2012/11/09
やどかり
18
初阿刀田さん。ピリリとスパイスが効いた物語もあり、短編ながら物語があってよかった。特に「輝く声」「含み笑い」「足引山異聞」がおもしろかった。他の作品も読んでみたくなった。2015/05/12
Hong Kong @新潮部2025
14
阿刀田氏の短編小説も20代の頃、次から次へと読んでいった頃の味わいと少し違う気がする。自分が50代となっているわけだが、小説に出てくる、30代の男女が随分ジジくさいババ臭い感じがするのはなぜだろう。自分は年をとったくせに、いつまでも、子供っぽいのかなあ。2021/02/27