内容説明
突然の列車事故で、頭や体をぶつけあった4人の女性たち。自分の空想が、隣りに、向いに座っていた人に取り込まれてしまった。終着駅で、別れた彼女たち。他人の空想を取り込んでしまったなどとは、夢にも思わずそれぞれが帰路に着く。ところが、日常生活の中から少しずつ変化が生じてくる。他人の空想を取り込み、人が歩むはずだった道を歩いてゆく彼女たちが、人生の終点で見るものはなにか?男と女の不透明な時間〈下巻〉。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takaC
14
~突然の列車事故で他人の空想を取り込んでしまった四人の女性。彼女たちの生活に不思議な変化が起きた。~1992/12/16
KAZOO
9
4人の女性の巡り会わせをうまく描いていて、今まででは変化が起きなかった人生にそれぞれが異なった経験をすることになっています。男女間のもつれなどもあったりで、阿刀田さんの長編としては異色の分野ではないかと感じました。4つの中編くらいにはわけられるかもしれません。2014/08/14
𝓚𝓸𝓉𝓸
6
列車の中で頭をぶつけたことで頭の中が少しずつ入れ替わって、そこから運命すらも変わる。良い方向に向く人もいれば、人殺しをしてしまう人もいる。あんまり読んだことのない話だったのでおもしろく読み進められました。考えを移されたことに気づかない人がひとりぐらいいてもよかったんじゃないかな(笑)2016/03/23
MIKETOM
5
さて下巻。列車に乗り合わせた四人の女たち。突然踏切事故が発生し列車は急ブレーキ。そして四人の女たちは互いに頭をぶつける。ただし、四人が輪になって一人ずつゴン、ゴン、ゴン、ゴンと順繰りにぶつけ合う。そしてそれに伴って、各々その瞬間に抱いていた夢想(妄想)が隣の女へと憑依していった。全員それぞれの生活に戻るけれど、脳内に新たに発生した妄想が徐々に広がっていき、やがて…。設定そのものは面白いのだが、肝心な妄想の内容と脳内の変化、運命の激変がイマイチ平凡かな。もう少し推敲を重ねてほしかった。でもまあまあ。2019/04/27
くれって
1
列車事故により4人の空想が車内で交錯する。そしてそれぞれの場所へと戻った4人は、より大胆な考えをもって人生を生きていこうとする。前半2名の変化には前向きで明るいものを感じたが、殺人を犯してしまった信子、他人の子を身籠っためぐみの今後には気がかりなものさえ感じる。変化はいつも良いものとは限らないが、変わろうとしなければ退屈な日常が続くだけ。当人にとってプラスかマイナスかは別として、ほんの小さなきっかけによって人生は大きく動き出すのかもしれない。新しいことに挑戦したくなるような物語だった。2025/01/03