内容説明
国道沿いにあるコーヒー店。店の名前は絵里花。落ち着いた雰囲気だし、何よりもコーヒーが旨いので、店告代理店の編集部員をしている木原は、週に三度はこの店に通ってくる。木原はそこで、お坊ちゃん育ちの貝崎夫妻と知り合った。だが木原は、その美しい夫人と前に一度だけ会ったことがあった…。女性はいろいな顔を持っている。恋人の前、知人の前、他人の前で様様な役を演じている。仮面の下に隠された女の小さな秘密とは?阿刀田高のオリジナル・ブラックユーモア集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
71
この中には、おもに男女に関係する話が10収められています。ブラック・ユーモアというよりもかなりミステリー色の強い話が多く、男女の話の割には私は楽しめました。皮肉な落ちが多いのが特徴になっています。エンターテイメントとして楽しむにはいいと思います。2015/07/12
takaC
7
父殺しのパラドックス/肉の影/仮面の女/裏切りの遁走曲/顔/本番まで/街の旅/その遺産を捜せ/歪んだ蜜月/脳味噌の報酬1993/06/26
MIKETOM
4
『その遺産を捜せ』を読むと、阿刀田はミステリー作家だったんだなと改めて思わせてくれる。ラスト、主人公の陥った状況を思うと慄然としてしまう。自分がこんな目にあったら恐怖のあまり泣き叫んで発狂してしまうだろうな。怖い。『街の旅』を読むと、阿刀田は奇妙な味の作家だったんだなと改めて(以下略)。倦怠期の夫婦(夫)ならこの感じがすごくよくわかる。自分もこういう体験をしてみたいね。『本番まで』テレビ業界のみみっちくて醜いスキャンダルに右往左往する男の話。嫁姑問題を絡めてくるところがうまいと思った。まずまず面白かった。2019/01/11
キャモメ
3
初の阿刀田作品。ホラー色が強いと勝手に思っていたが、人間のダークな部分に焦点をあてた短編集。特に怖かったのは、亡くなった父親の遺産目当てでその娘と結婚した男の話。計算された亡き父親の罠と、その結末ににゾッとせずにはいられなかった。2020/01/24
みい⇔みさまる@この世の悪であれ
3
☆×3.5…男と女のブラックな作品。ちょっと色気のあるシーンが出てきますので18歳未満の人には適さないですね(苦笑)極端に怖い作品もありますが面白かったのは火遊びに耽溺しすぎて最後に本当に地獄に落ちてしまうという笑えない展開の「その遺産を捜せ」です。爽快だけれどもよくよく考えてみるとぞっとするんですよね…最後に出てくる作品も最後に背筋が寒くなります。2012/04/30