内容説明
創政会の旗あげをはたした竹下登が、上気した顔で“キャピトル東急”の一間に姿をあらわした。報道陣のフラッシュと76名の国会議員が拍手で迎えた。社会党の武藤山治、公明党の大久保直彦、民社党の大内啓伍。そして元気であれば、共産党の津金佑近の顔もあったはずである。壇上にのぼった竹下は、正面の田中六助の遺影に深く一礼すると口をひらいた。会場の一隅から「いよーっ、竹下総理!」の声が掛かり、藤波孝生、小渕恵三、三塚博らが、期待をこめて笑顔でうなずいた。その時から、国会のもう一つの大派閥国会稲門会が、天下取りに動きだした。