内容説明
19歳の貧しい娘シルヴィー・ラテーヌに奇蹟が舞いこんだ。伝説的な美人女優ドミニク・フランスの名画「薔薇の女」再映画化の主演女優を、という魅力的な誘いだった。だが、有頂天のシルヴィーを夜更けのアパルトマンに訪れたのは、豪勢な真紅の薔薇の花束を抱えた、正体不明の殺人鬼だった…。壁に残された戦慄の血文字〈アンドロギュヌス〉―両性具有者とは何か?切り裂きジャックの再来か。パリの鋪石を血に染め、次々に美女の肢体を切断する恐怖の連続猟奇殺人事件!待望の矢吹駆シリーズ第3弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白義
11
犠牲者の肉体から構成される肉人形というおぞましき事件に戦時下フランス文化人の対独協力問題、プルーストの小説より取られた名前やアンドロギュヌスというモチーフなど、初期三部作の中でも小説的な技巧とおどろおどろしさは随一。逆に達者な分前二作にあった思想的切実さは薄れている。だが、バタイユとの思想対決は倒錯的な猟奇犯罪の捉え方をメタレベルで捉えようとしたものだし、また外観の異常さを少しずつずらす形で意外な真相を提示するテクニックもそれと合わさって効いているし、思想書とミステリを融合させた必然性が消えたわけではない2017/07/31
koma250
0
初版を手にした笠井潔。あれほどうれしく帰ったのは珍しい。連作でありながらマンネリでない。今では寡作であったことで1作ごとに印象が深い。
慧
0
★★
まぬー
0
長い間、積読状態だった作品をやっと読了。ミステリーとしては上出来なんだろうけど、自分には高嶺の花的作品でした🤔2023/09/25