内容説明
ママの三年来の愛人は、ママの男として、彼以外考えられないほど完璧だった。両親の結婚の破綻を知らずに、私は二十三歳、婚約者がいる。今、サヨナラを言おう。ママの女としての幸福のために、ママに。私の幸福のために、婚約者に。そして旅に出よう―。心にひりつき、滲みとおる。ほろ苦い、大人の恋の掌篇集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ねこまんま
29
如何にも森瑤子らしい、ショートショートです。 このセレブ感と過剰な自意識、俗に言うかっこつけがイヤミにならず、ピリッと効いたスパイスになっているのはさすが。 若いころ夢中で読んだ本なので、同世代の女性なら分かってくれると思うけど、今の若者が読んだらどんな感想もつのかな。2016/08/18
aoko
2
表題作以外は一編が4~7ページ前後の短編集。短い作品の中に、恋に落ちる瞬間、恋を見限る瞬間、出会い、別れ、葛藤などが日本、アジア、ヨーロッパ、アメリカを舞台に切れ味良く書かれている。短くても舞台の景色をきっちり描きつつストーリーもまとまっているのはさすが。2025/01/21
KO
0
ところどころべたな表現が気になるものの、切れ味の良い短編集だと思います。ロアルド・ダールの影響を受けているとどこか読んだのですが、確かにダール的な意地悪さがにじみ出てて、にやっとしたり。森瑤子さんは小説のテーマやモチーフ、それから量産型の作家ということでどうも評価が低く見積もられているような気がします。本当に短い短編を上手に書く日本人作家って、あまり多くないように思うので、そういう意味でも貴重だと思うんだけどな。2013/01/12
RENO
0
2002年8月26日
まさよ
0
短編集。少ない文字数の中に、あれだけの話を書き上げる森さんは天才だと思いました。2024/10/08