内容説明
大導寺一族の末裔・静音は、幼なじみで新進の推理作家・藤枝直顕の願いで、遠縁の老婆・妙蓮院笑子を訪問した。直顕から静音の“顔”が彼女の話を聞き出すのに必要だと頼まれたからだ。二人を前にした老婆は、静音の顔を見て叫び声を上げた!老婆・笑子は、やがて自身の若かりし頃を語り始める―それは、静音の大叔父・乙音と直顕の祖父・清顕との死に彩られた悲恋の物語だった…。壮大なスケールで語られる絢爛たるミステリー・ロマン。
著者等紹介
栗本薫[クリモトカオル]
東京生まれ。早大卒。江戸川乱歩賞、吉川英治文学新人賞受賞。中島梓の筆名で群像新人文学賞受賞。ミュージカルの脚本・演出等、各方面でも活躍中
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きな粉
6
六道ヶ辻4作目。ほとんどが笑子と清顕の「語り」で構成されているので、改行が必要最小限しかなく文字がぎっしりの512ページ、濃厚な栗本ワールドに浸り、文章から出ている圧力にビリビリときました。とても面白かったです。2016/02/27
ako
5
もしかしたら?でも…と迷ったまま、乙音の本心に確信が持てず、そうとわかった時は時代が恨めしかった。戦争さえなければ…と。 笙子と摩由璃が乙音の死に間接的に関わっていたと思ってたけどそうではなかったのですね。時代のせいなのか、素直に真っ直ぐ話せばいいのになぜ和歌に込めるのか。私はまどろっこしいのは苦手です。読み始めたからにはシリーズ最後まで読むつもりですが、この異様な恋愛にはいつまでたっても慣れません。2012/09/30
kagetrasama-aoi(葵・橘)
4
六道ヶ辻シリーズの第四作目。初読時には乙音の心情がイマヒトツぴんとこなかったんですが、今回読んでしみじみ”乙音が哀れだなぁ……”と。乙音の最後の決断の裏には戦争が一番重くのしかかっていたことがより哀れさを感じました。前作の竜介の青春とは如何に違うことか!兄と弟がこんなに異なる心境を育てるとは……。笑子には少し作者さまの投影入っていますよね(≧▽≦)!彼女が衆道小説書く動機とか!そして新古今めいたお和歌も凄く素敵!栗本ワールドを堪能致しました。2017/04/07
こみち
3
栗本薫、初読。80歳になる笑子さんが60年近く昔の話を延々と語る…。これは最後まで読み続けられるのか不安…。と思っていたのが嘘のようにストーリーに吸い込まれて夢中で読んでしまった。蘭子さんが良かった!2016/05/12
シーラ
2
相変わらずの退廃耽美。和歌への造詣深ッ!夢見る夢子さん、笑子さんの語りなので、他の六道ヶ辻シリーズより「えぐく」ない。…物足りないかも?(笑)2015/06/19