内容説明
大相場がある、駒田周平は暗紫色の空に流れる火球を見て予感した。過去40年間の株価の動きを示す罫線も、丙午の年に大相場があることを示していた。今年が60年に一度のその年だった。今は不況のどん底、弱気観が北浜市場に漂っていた。だが15の歳から叩きあげた北浜の相場師、周平にとっては、やっと訪れたチャンスだった。相場さえ始まってくれたら、傾きかけた波川証券も立ち直る。大相場を前に野たれ死にしてたまるか…周平はしゃにむに突っ走りはじめた―相場との対決にすべてを賭けた男の凄じいまでの執念を描く。