内容説明
終戦間もない、昭和二十年代。巷では、驚異的な技術を誇るプロのイカサマ師たちが、その悪魔のような腕を競いあっていた。“二の二の天和”、エレベーター、ガン牌、三色爆弾、切返し…。「麻雀放浪記」の坊や哲と、“牌の麻術師”たちとの息詰まる死闘の数々。麻雀の面白さ、勝負の醍醐味を味わい尽くせる不朽の名作が、今、時代を超えて新装刊。
著者等紹介
阿佐田哲也[アサダテツヤ]
本名色川武大。1929年東京生まれ。東京市立三中中退。1961年に自伝的小説『黒い布』で中央公論新人賞受賞。『麻雀放浪記』など麻雀小説はペンネームで発表。本名で発表した短編小説『百』は川端康成賞を受賞した。1989年死去
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
55
幼い頃、祖母から聞かされた話…山で狐に化かされたり、化かされそうになって姉妹で助け合う話を思い出した。なぜだろう? 人間も動物も一つ世界に生きている…それに似たユートピアがここにあるからかも知れない。この小説では人間同士の欺し合いが描かれる。賭け麻雀で生活するバイニンはふだん素性を隠し、素人の客から少しずつ搾取しているが、同業者が現れると互いにイカサマ承知の芸と芸の真っ向勝負を挑む。負けた方は生活の場を失うから必死だ。相手の技を見破り、その上を行く技を繰り出す。自分の目と技だけを頼りに生きる姿は清々しい。2015/04/29
山田太郎
52
あんまり付き合いたいとは思わない人たちの話なんだけど、なんだかくせになるというか。たまに読みたくなるので困るというか。ブックオフで100円だったからまぁいいかと。2015/02/25
よっしー
8
★3・5 30年以上前、高校か大学時代に読んでると思う。今、読んでも色褪せないなぁ。手積みで久々に麻雀してみたい。2016/07/02
ファーラス
5
面白かった。初出は1973年。戦後の賭け麻雀を生業とするバイニン(商売人。プロ)たちの、人生の交錯と人間模様を描く連作短編集。講談社の少年漫画『哲也-雀聖と呼ばれた男-』の原作的な小説。漫画版は、大筋は麻雀放浪記を踏襲しつつも、1つ1つの話やキャラ立ては本作に依るものが多い。戦後の空気重視なのが麻雀放浪記、バイニン生活重視なのが本作。今読んでも古くささが一切ない文章で、読みやすい上に、表現や描き出すモチーフも浅くなく、エンタメ感も十分。『麻雀作家』の色で過小評価されているが、日本史上屈指の文豪である。2022/11/23
ゆーいちろー
5
もはや、氏の麻雀小説について何かを言うことはないのだが、やはり、何度読み返しても面白いということに尽きる。以前にも、他の短編集でも書いたように思うが、たった一つ、麻雀というテーマのみをもとに、これだけの量と質の作品群を書き続けたのは、すごいと言うしかない。近年、これら阿佐田作品をもとに、少年マンガも連載されていたが、そこに名の出てくるキャラクターも本書に多く登場する。ダンチ、キャブ、ブー大九郎、まんしゅうチビ、印南・・・どこか滑稽で、どこか切ない登場人物達の姿に、実は正統的な人情話の雰囲気を感じる。2012/05/05
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