内容説明
五十二歳という働き盛りの造園設計家・恵門を突然襲った記憶の空白。異常を感じた彼が友人の医師・八木に診断を迫ったところ、アルツハイマー病の疑いがあり、“精神余命”があと一年であることを告知されてしまう。アルツハイマー病が原因不明・治癒不能の病であり、記憶の障害から始まって精神能力と人格が徐々に滅びていくことを知り、恵門は暗然たる恐怖に打ちのめされるが…。生への執着と死への誘惑の間で揺れ動く男の絶望と救済を、叙情あふれる筆致で描いて新境地を拓いた力作長編小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
zanta
6
やばい。この本が出版された頃、一度読んだ。だけど今回再読して、ものすごいデジャヴがあった。20年前の記憶じゃなく、ごく最近読み返してるようだ。だけど記憶がない。冗談じゃないぞ。。。それはともかく。二十年前オジサンの話と思って読んだそのオジサンより年が上になっていることがなんだかおかしい。笑っちゃう。自分の能力の限界に危機感をもっている私だから痛みを覚える位身近な話だ。どんな成功者でも人生最終盤にはこんな苦悩が起こり得る。人生は過酷だ。2013/04/07
赤い肉球
4
夏樹作品、30年以上も御無沙汰してました。推理物かと思いきや、怖い怖い医療に関するお話。それも、決して他人事ではないテーマ。読んでいて、ヤバいヤバいと幾度も呟いていた。主人公とは同い年、になるのかな…、自分にも当てはまることがある。うわー、私も脳が異常ではないか、検査しなきゃ、という思いが沸々と…。先が読めないって怖いね…。若年性は遺伝によることが多いって初めて知りました。これからの社会、深刻な問題になるであろう重いテーマを取り上げた夏樹先生に拍手、です。2015/05/02
Kigalisoupe
1
うううん まあこの主人公は若年性だからね……2011/03/24