内容説明
確かに殺したはずの人間が、なぜか生きていた…。その謎の陰で、ある二つの遺体の行方に不審な事実が次々と判明して…。人間の尊厳や、生きること、死ぬことの意味と、医学の発展がもたらした恐怖とを、息詰まる筆致で描いた力作医学ミステリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ツカモトカネユキ
5
1993年初版発行。1980年発表の再発行版。昭和40年代後半、ある大都市を舞台にした医療ミステリー。人間の死とは何かという壮大なテーマをもとに物語が繰り広げられます。当時の近未来を予感させる技術がカギになってますが、物語の時代設定から半世紀過ぎても実現されておらず、SFの要素を強く感じました。残された人たちの死に対する想いを真逆に表現しているのは、それだけ死に対する人々の想いが多様で複雑であるということを表しています。技術と倫理の対立は今でも、答えの出ないテーマだと強く感じました。2023/06/19
ぴよきん
2
このころより医療技術の進んだ今読むと、かえって「これはないだろー」という気分になり、ちょっと物語の世界に入り込めなかったのが残念。2011/06/13