内容説明
誰もが人生のいくつかの局面で決断を迫られるときがある。そんな時、曇りのない、真摯な心で、自分の気持ちに向き合うことができるだろうか…。片岡義男が描く女たちは、純粋で、まっすぐで、嘘がない。人生のせつなさも、さびしさも、自分自身で精一杯抱きしめて、弱音を吐かずに生きていく、クールで優しい女たち。誰のものでもない、自分の人生を生きたいと切望する人々に、静かな勇気を与えてくれる七つの短篇。
著者等紹介
片岡義男[カタオカヨシオ]
1940年東京生まれ。74年に『白い波の荒野』で作家デビュー。75年、『スローなブギにしてくれ』で野性時代新人賞を受賞。かつてないスタイルで若者の心象風景を描き、70年代から80年代を通して時代の圧倒的支持を受ける
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感想・レビュー
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権蔵
3
車、海、高速道路、ホテル、シャワー、鏡、バイク… 片岡義男が紡ぐ写実的な物語に欠かせないものがふんだんに盛り込まれ、日常生活の非現実性に酔いしることが出来た。もっともっと義男ワールドに浸ろう\(^o^)/2015/12/18
Fran_Cesca4
1
男女の不思議な距離感を描いた短編集。その距離感を自分の中にある語彙で表現するなら、漸近だと思う。進めど進めど、限りなく近づくだけで交わらない。心と身体が許しても、最後の何か、勘とか意地とかが許さない。一方、別れは急激だったり穏やかだったりする。 「さようならの言い方」が好き。このさようならには、誠意や愛などその他たくさんの素敵なものが詰まってた。2020/01/22
たくみ
0
所謂「バブル期」でも「ファンタジー」としての「憧れの都会」を描いていたので、今読むと逆に、SF的に新鮮さがある。意外と、掴みとして天気ネタをもってくることが判った。2016/07/31
ソナチネスナッチ
0
『花が濡れてます』を読んで私の中の何かが変わった。婚約がうまくいったけど、突然、意味不明に、結婚をやめるのを決断する女性が主人公。彼女を救うために、作者はこの小説を書いた。2010/05/14
ソナチネスナッチ
0
自分の意思と関わりなく進展する事態の内で、彼女が意思を発するには『拒否』しかなくて、拒否したかったわけじゃない。勝手に進展する事態とは、天気とか季節とか、順調な婚約とか。 彼女が彼を待ちながら車の中で寝る・・・電車で到着した彼が車まで来て彼女起きる、のところは好き。誰のものでもない視線がフワ~て漂ってるみたい。2010/01/26