感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
SOHSA
29
片岡義男の真髄とも言える一冊。この小説にはなんの物語もない。ひとりの女性の一年が淡々と描かれているだけだ。事件が起こる訳でもなく、落ちがある訳でもない。一幅の風景画或いは静物画を見ているようだ。だからこそ、この小説は美しい。こんな女性に巡り会いたい、これこそがおそらくすぺてを超越した理想の女性にちがいない。学生の頃、片岡義男の小説にめぐりあい、そんな夢を見ていたころが懐かしい。こんな小説を書けるのはやはり片岡義男しかいない。2014/08/02
ディープなつまみぐい
2
ひとりの美しい女性の日常を28章にわたって書かれている。とにかくおしゃれな描写で風景が映し出されそうな感じがした。2018/10/27
グルーチョ
1
実験的な小説だけれども実験的と感じさせない淡々とした筆致が素晴らしい。何も無く続いていく日常でふとたち現れる小さな変化に読み手は小さく高揚する。しかしこのようにある種しつこく主人公の一挙手一投足の描写を読んでいるとなんだか生きていることは全てドラマなのだなぁという錯覚におちいる。日常はあらゆる動作の集積でできているということを感じさせてくれる。2022/12/11
やぎちゃん
1
ある女性の1年間の記録。部屋の中・外での過ごし方が事細かに。実在する女性に取材をして書いたというこの作品、服を脱いだりするシーンを書くことにOKを出した女性の懐の深さに乾杯(笑)2022/02/23
ウラタキ
1
わりと非合理的な行動をとる女だな、と思いながら読む。帰宅してまず全裸になって新しいパンツとTシャツを着て夜風に一時間くらいあたってからシャワーを浴びるくだりがあるんだけど、なんで一回新しいパンツ穿いてからシャワー浴びるんだ、帰宅してシャワー浴びて新しいパンツ穿いてから夜風にあたるんじゃだめなのか、と思ってしまった。そんなこと言っちゃ野暮だけど、野暮な人間には一瞬だけ穿いたパンツの行方が気になる。2019/05/16