感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
再び読書
44
まだ南の帝王の様な異様な風貌になる前の竹内力が爽やかな青年を演じて映画化された印象が強い。オートバイ好きはこんな文章は好きなんだろうか?30年前にはベストセラー作家の一人だったが、最近はあまり話題にならない。彼の文章も何故か心地よく感じた。しかし、ストーリーとしては起伏がほとんど無い。仕事を引退して南の島で読むには快適かも知れないが、今はこのタイプの本を読む時間が無い。読書の合間の息抜きには良い本です。2017/04/26
SOHSA
41
流れる風景が鮮やかに浮かび上がる。風の音が聞こえる。オートバイのエンジンの振動が腹に響く。片岡ワールドの真骨頂がこの作品だ。日本にもこんな小説があることが、読み手としては堪らなく嬉しい。2014/07/06
SOHSA
23
《購入本》8年振りの再読。あれからとても8年もたったとは思えない。毎年、初夏から夏の終わりの時季になるとなぜか片岡義男の小説が読みたくなる。カラカラに乾いたアメリカの砂塵やじっとりとまとわりつく日本の梅雨景色が、どれも片岡義男にかかると鮮やかな色彩を放ち始める。P93の千葉のある町の祭りの風景は、心当たりのある実在のものだ。町並みや引かれる山車、人々の踊る姿はどれも懐かしい。最後まで何も大きな事件は起こらない。風景画のように淡々と描かれる片岡義男の小説の魅力が実はそこにある。 2022/07/15
ガミ
15
物語序盤からオートバイを含む主人公の様子とその背景が浮かび上がるように書かれていて、リアルさを楽しむことができました。ツーリング先で女性と出会い、しばらくバイクを走らせて休憩した浴場で再開。そして、時が進むにつれ、再会を果たし、恋愛にまで至るのは、まさに青春です。それでいて、恋愛小説でたまに書かれる触れ合いをあまり感じさせないのは、片岡さんの自然描写が上手く書かれているからかなと思います。バイクに乗った時の道路、木々の様子の丁寧さが、恋愛の情事をいい風に穏やかなものにしています。2015/07/19
Yuki Ban
11
バブル期の小説だ。どこか鷹揚で冗長な若い男が、肉体的魅力のある女性とツーリング先で出会う。2人のやりとりはつまらない月9のようだ。ただ、なんだか2人は楽しそうだ。すぐに女性は男の家に転がりこんだりと展開は早いが、場面を記述するのは遅く、特に情景描写が長い。心の交流はほぼ描かれない。男は女性の肉体に惹かれているとしか思えない。女性は男のどこに惹かれてるのか読み取れない。つまんなくて冗長でキザなムードが終始この小説には漂うが、当時の若者にはヒットしたのだろう。この数年後にキムタクが世の中を席巻するのも納得だ。2024/09/14