感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
33
野望のためには殺しも辞さない、非情に見える朝倉哲也だが、彼は決してマシンではない。血も涙もなく、人を殺めるわけではないのだ。その先には、腐敗した首脳陣にひとあわ食わせ、会社を乗っ取るという野望がある。単なる利己主義に陥らず、快楽のための殺人でもなく、朝倉が非情を貫けるのは、底辺にいなければならなかった社会への復讐ゆえだ。それでいて、目的のために社長令嬢に近付いた朝倉が、令嬢と逢瀬を繰り返すうち、「これが本当の人生かもしれない」という思いが一瞬よぎったりする。(つづく)2019/06/11
コニタン
6
一匹狼だね!大藪春彦の作品は、食欲と○欲が湧いてくる!2017/11/05
はげ太郎
3
強く激しくクレバーな朝倉。これだけの犯罪者を英雄視は出来ないが、話としては恐ろしく面白い。己を本能の赴くまま、獣のような生き様がここにある。2015/01/21
Etekow
3
ハードボイルドはミステリに分類されるから当然なのだろうが、ワクワク、ドキドキしながら読み進めるのが楽しい。朝倉が次に取る行動が用意周到で意外なものであり、その時にはよく分からないが、この後何が起こるのだろうかと期待感が大きい。権力にしがみつき威張り散らす人間に対して猛烈に憤る。今の言葉で言えば「キレる」ところに、溜飲が下がる。一体、最後はどうなるのかと頁をめくるのを楽しみに読了した。大藪春彦のハードボイルドは権力に牙を向く、弱者の物語だと思う。2014/05/18
匿名
2
完結編、重役になった後は比較的あっさりと日本から脱出するのですが、京子を殺した時の描写は、大藪先生らしい部分で感情の動きをあえて仕草のみで描いたところが良かった。 久々の再読で、やっぱり無茶は多数あるけど、悪がのし上がるという意味では、単純明快なストーリーで面白かったです。2022/02/08