感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
65
再読。『本陣殺人事件』と共に戦後本格ミステリの黎明を告げた傑作。もうね、刺青のトルソ、大蛇丸、綱手姫、児雷也三すくみの刺青、胴体だけが失われた死体、日本家屋では不可能と思われた浴室での密室。こういう言葉だけでミステリファンにはもう堪らないわけでありますよ。昔読んだ時はやっぱり密室を構成する上での必然性が格別目立ったが、今回読み直して改めて感心したのがある事を前面に押し出した読者のミスリード。やはり見事に誘導されたのに改めて感服です。刺青という退廃美に彩られた仄暗い戦後直後の地獄絵図、久々に堪能できました。2019/08/01
kagetrasama-aoi(葵・橘)
24
高木彬光作品、登録第四作目。名探偵神津恭介シリーズ、第一作目。この作品が高木氏のデビュー作。完成度に唖然とします。まさに戦後の本格推理小説の傑作の一つ。犯人の心理を将棋や囲碁の指し方打ち方で推理する部分は、ヴァン・ダインを彷彿させられます。刺青にまつわるあれこれは日本ならではのもの!白皙の美貌の名探偵とワトソン役の松下研三の対比も素晴らしい!読み始めたらページを捲る手が止まらない作品。2019/06/10
karatte
21
つい最近どこぞのサイトでレビューを見て、再読を決意。細部はほぼ忘れていたが、この論理のアクロバットとでも言うべき発想の転換の切れ味は、ややもすると古めかしく感じられる道具立ての只中にあって普遍的な輝きを放っている。ただ、やっぱり探偵役に感情移入できないんだよなあ……神津恭介、完璧すぎて鼻につくw これで御手洗みたいなエキセントリックな人柄ならまだ諦めもつく(?)んだけど、普通に常識人だし。2017/04/25
ステビア
21
古き良き本格。これは傑作だ!2016/07/24
Yuki
19
これでデビュー作とは驚きです。将棋の指し方で、犯人かそうじゃないのかを絞り込み、刑事までそれに同意しているのは、なんだか適当かもとは思いましたが密室のトリックとか、犯人の糾弾とか、今で言う本格物ですね。思い込みを逆手に使ったトリックは見事だと思いました。神津恭介の鮮やかさが気持ち良かったです。2015/11/16