内容説明
「今に見ちょれ。俺はこの腕一本できっと…」。半次郎の口ぐせだった。姓は中村、鹿児島城下の藩士に“唐芋”とさげすまれる貧亡郷土の出ながら剣は示現流の名手、精気溢れる美丈夫で、性剛直である。時は幕末、ふとした機縁で西郷吉之助に見込まれ、国事に奔走するが、卓抜の剣技は血なまぐさい暗殺を重ね、“人斬り”の異名は、次第に高まってゆく。激動する時代の中に一快男児の熱血の半生を描く、傑作小説の前編。
著者等紹介
池波正太郎[イケナミショウタロウ]
1923年東京浅草生まれ。下谷西町小学校卒業後、株式仲買店に勤め、海軍入隊。戦後、都職員から長谷川伸門下生となり新国劇の脚本と小説を発表。60年「錯乱」で直木賞受賞。「鬼平犯科帳」「剣客商売」「仕掛人・藤枝梅安」の3シリーズで時代小説の第一人者となる。吉川英治文学賞受賞。90年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
73
面白かったです。人斬り半次郎こと中村半次郎の生き様を描いた物語の前編になります。貧乏ながら剣の腕は一流というところが恰好良いですね。その腕を西郷どんに認められるくらいですから。人斬りというとどこか影を感じるものですが、半次郎からは陽気で実直な印象を受けました。西南戦争のきっかけになった人物という印象が変わりそうです。激動の時代を熱血に生きた男という魅力にとりつかれました。続きも読みます。2017/07/19
Yasutaka Hori
2
人斬り半次郎こと、中村半次郎。あまり彼を題材にした歴史小説はないのでは?一読書ファンとしての勝手な感想を許してね、という気持ちで言えば、やはり歴史小説としては、司馬遼太郎さんが上か。。。とはいえ、剣豪としても名を馳せた半次郎の青春期を爽快に描いており500ページを超える量をものともしないのも事実。引き続き明治維新期を描く「賊将編」へ!2017/06/02
んがんぐ
2
池波正太郎先生の本を初めて読みました。中身をまるで知らずに買って、てっきり完全フィクションの時代劇的なものかと思ってましたが、実在する桐野利秋氏の小説でした。名前ぐらいしか知らなかったのですが、下級武士から実力で成り上がった大層な人でごわした。戦国時代と違って、幕末モノは一人ひとりがそれぞれの主義主張や思惑をかかえてて、それに命を賭けてるのが良いですね。2013/10/11
kimoiue
1
箱根八里の半次郎~♪じゃなくて人斬り半次郎。人を斬る事に溺れず、はァいはァいと可愛い半次郎。 和泉守兼定を手に時代を切り拓く。後半も楽しみだ。2022/01/05
MCH46RR
1
どうしても司馬さんと比べながら読んでしまう。エクスクラメーションの多用もやや興が覚める2014/12/13