内容説明
幕末動乱のとき、真剣なら無類の強さを発揮する天然理心流の道場主・近藤勇は、志を同じくする土方歳三、沖田総司らと江戸から京に上り新選組を結成、尊皇攘夷、倒幕を画策する長州や薩摩など西南雄藩の活動家と闘う。芹沢鴨一派との内部抗争を経て、京の池田屋に長州藩の過激派を襲い、天下にその名を轟かせるが…。幕府瓦解の前夜、一瞬の光芒を放った新選組。その局長、近藤勇の激闘の日々と隊士との交情を熱く描く傑作。
著者等紹介
池波正太郎[イケナミショウタロウ]
1923年東京浅草生まれ。下谷西町小学校卒業後、株式仲買店に勤め、海軍入隊。戦後、都職員から長谷川伸門下生となり新国劇の脚本と小説を発表。60年「錯乱」で直木賞受賞。「鬼平犯科帳」「剣客商売」「仕掛人・藤枝梅安」の3シリーズで時代小説の第一人者となる。吉川英治文学賞受賞。90年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
123
小説としての新選組を読むのは久しぶりです。近藤勇を主人公にした新選組の物語。試衛館時代から処刑されるまでの近藤を追っていますが、どこまでも人間臭さを漂わせていました。責任感の強さも感じさせ、新選組の局長としての想いが伝わってくるようです。芹沢派の動きが少ないのは、あくまで近藤を描き切ろうとしたからでしょう。それにしても近藤が主人公でありながら永倉さんがかなり出てくるなと思わされます。池波さんが一番好きな隊士であることが影響しているのでしょうか。2017/01/23
ともくん
43
近藤勇の後半生は、幕府のため、新選組のためにあったと言っても過言ではない。 強いところも弱いところも、驕り高ぶったところ、女に溺れたところも、全てをひっくるめて人間味溢れる近藤勇が描かれている。2018/07/05
り こ む ん
41
読友さんからの頂き本。いつの頃からか、苦しかったんだろうな…自分で立っていると思っていても、どこか土方歳三に作り上げられてる気持ちがあったのかな?後半につれてそんな部分が見え隠れ。新撰組が大所帯になるにつれ、素になれなず、それに見あった行動をツイツイしてしまう。気付かず自分で自分を必要以上に演出しているのが、寂しいさを感じた。2017/06/27
saga
41
著者の『幕末新選組』を読了後に購入した本書。近藤勇の天賦のカリスマ性が伝わってくる。隊を率いて幕閣から認められるに従って尊大な言動が目立つ成上りの嫌な面も、伊東甲子太郎に下った藤堂を助けられずに悔やむ面も、全てが近藤勇なのだ。新選組の盛衰を描いた本書は、幕末・新選組オールスター総出演という感の時代小説となったのは、さすが池波さんだ。2017/06/08
よしひろ
12
「燃えよ剣」とは違った視点で書かれていることを期待して読んだ。しかし、土方をはじめ、各隊士が剣術を武器に上京し、友でもあり同僚として、いそいそと京都で活躍している様子は変わりなかった。それにかえって安心した。近藤には近藤の役割があり、土方もその役割を果たす。時流に逆らった行動といっても、その足跡にしみじみ感じ入ってしまうのは、彼らの生き様に魂を感じるからだ。2015/09/23