内容説明
血管の中を虫が走り、小さな大名行列が見える―アル中のタクシー運転手は客を乗せたまま破滅街道をまっしぐら。ラジオ局の経理課長は、労組のストで無理矢理マイクを持たされ、放送事故続出の怪番組で大暴走。悪夢のような不条理と極限状況に壊れてゆく人々、その姿を笑うあなたの心もいつしか崩壊の一途を…。精神の強靱でない方は決して読まないでください。新発掘短篇「人類よさらば」も収録。
著者等紹介
筒井康隆[ツツイヤスタカ]
1934年大阪生まれ。同志社大学文学部卒業。主な作品に『虚人たち』(泉鏡花文学賞)『夢の木坂分岐点』(谷崎潤一郎賞)『朝のガスパール』(日本SF大賞)『ヨッパ谷への降下』(川端康成文学賞)『わたしのグランパ』(読売文学賞)などがある。近年は、映画、演劇、テレビドラマなどにも出演、役者としても活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
88
筒井サン、本領発揮か?と思わされるスラップスティック作品の連続です。いい意味で気が狂っていて、しかも潔いので感動しました。やりたい放題で笑えるものから笑えないもの、ブラックなものまで至上のセレクションと言えるでしょう。毒気満載で次々と起こるトラブルを思い切り楽しみました。最高です。2015/11/09
HANA
73
お腹痛い。筒井作品を読むのは久しぶりなのだが、冒頭の「経理課長の放送」でもう駄目だった。玉石混交の短編集なのだが、石は兎も角玉の破壊力は飛んでもないものがあるな。著者お得意のスラップスティックで、一番脂が乗り切った時期の作品のような気がするし。特に面白いのは表題作。昔読んだ時はいまいち気に入らなかったが、今読むと大傑作なのに気付かされる。谷崎とは逆ベクトルで関西弁の魅力を余す事無く発揮しているし。とりあえず「経理課長の放送」、表題作、「旗色不鮮明」「わが名はイサミ」辺りはお勧めです。ああ、お腹痛い。2020/03/03
さっとる◎
41
人生はまあ何かとバタバタするもんで、トラブル三昧ってことなんでしょか。やってやんでとか、そうきたかとか、取っ組み合えるんはサラリーの範囲内やと割り切れたり自分の能力でどうこうできるうちの話で、そんなん超えた理不尽トラブルーがやってきた日には、さてどうしたもんでっしゃろな。もうバタバタすることもできなくて地獄≒天国かとも思える狭間で白眼青息、そんなん他人事として開陳されちゃ笑ってまうやん。笑っちゃいけない大変難問他人トラブルは笑いと同じ重さである。そういうことなんだ。とか良い加減ないい加減言ってみたりして。2020/07/12
北風
40
バンボーレ!…この一語に尽きます。トラブルというより悪ふざけ(笑)2015/08/24
へいっち(ت)♪
31
初読の作家さんです。まさにトラブル短編集。メチャメチャでブラックで笑えるものから笑えないものまで…この作品が最初で良かったのかな?短編なのでサクサク読めちゃいました。2014/08/10