感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
84
金田一耕助シリーズ第20弾〔再読〕都会バージョンの乱歩風スリラーパターン。横溝先生は、ミステリ誌で地方の慣習などをモチーフにした本格ものを、大衆紙で本作の様な風俗ものをと作風を書き分けています。物語は、雨の日に現れる謎の男、雨男が引き起こす連続殺人事件。しかし遺体は、剰りにも無惨であり、これでもかというよう陰湿な装飾が施されていた。こうした遺体を冒涜した犯行が印象強いが、テンポよくスリリングな展開は読みやすい。犯人、犯行の謎が明かされた時タイトルの意味が解るのだが、その意味深さに思わず背中が冷たくなる。2017/10/09
えみ
51
そこまでして否定したいのか!と犯人の罪の異常性にどれだけ人は歪むことができるか、を一連の犯行を知ることによりじわじわと実感する残忍ミステリに仕上がっている。憎しみに取り憑かれているとしか言いようのない執着と犯行の手口は「悪魔の寵児」を名乗るには十分。名探偵・金田一耕助が後れを取るのも納得の猟奇殺人が美しく残忍な笑顔で待っている。人形の愛のカタチと地獄の快楽、ここにあり。数々の有名事件を生み出した金田一耕助シリーズのなかでは決して突出した作品ではないけれど、歪んだ人間の欲が集まって生んだ事件は興味深かった。2024/12/24
geshi
46
エログロを前面に押し出した通俗探偵小説。金田一耕助が出てきたら事件が終わってしまうので、新聞記者・水上三太をもう一人の探偵役にしてリアルタイムで事件を追わせることでスリリングな物語展開にしている。一章あたりが短いのでテンポよく読めるけど、謎解きに関しては期待してはいけない。犯人が被害者に施す冒涜的な装飾で目を引いて、欲にまみれた人間関係で引っ掻き回しても、犯人当てが2時間サスペンス級に稚拙。犯人が「悪魔の寵児」なら本当の「悪魔」は誰なのかと思わせる不愉快な幕切れ。2017/06/12
yucchi
44
精力盛んな50代のエロオヤジと複数の愛人の酒池肉林の話。金田一は相変わらず事件を未然に防げないし、結局犯人死なせちゃうし。ラスト3行が不穏な空気を醸し出している。新たな悪魔の寵児になるのか。2015/10/18
sat
37
かなり変態な猟奇殺人事件でした。あまりの変態っぷりに、読み進めるのが辛かった。金田一さんの存在もうすく少し残念に思えた。2016/09/30