内容説明
「しかし、一体どこに自分の本当の地図を持った人間がいるだろう。私たち人間は、常に地図のない荒野へ旅を続ける単独旅行者のようなものだ」日常への旅、異国への旅、過去への旅…それぞれの旅は、時に哀切な痛みを作家の胸に残し、時に甘酸っぱい郷愁を呼び起こし、あるいはまた、生きている現在の相貌を照らし出す。時代と自己に向き合う強靱な意志に裏打ちされたユーモアとペーソスが紡ぎ出す、生の視点からのエッセイ、第三弾―。
目次
第1部 日常への旅(犬のいる風景;夜の蹄の音;夜のなかを車で走るとき ほか)
第2部 過去への旅(母親のなかの女;ある時代の終り;雪のなかの凍った本 ほか)
第3部 異国への旅(マリー・ラフォレ;プラハの目抜き通りで;幻想のパリ祭 ほか)
第4部 日本への旅(殴られに行く;松江の女;沖縄の女 ほか)