内容説明
強大な賊・鼻垂との激戦に勝利した倭男具那は、束の間の休息ののち、宇沙国を後にし、狗奴国を目指して軍を進める。熊襲の勢力下に踏み入った男具那たちに次々に襲いかかる賊、壮絶な戦の中で、男具那にとって大切な命も失われていく。そして、ついに熊襲の首長、川上タケルの主力軍と対峙した時、男具那は、自らその最大の敵を討つべく、激情を込めて剣を抜きはなつ―。ヤマトタケルの生涯を描く古代史小説の新境地、壮大な歴史ロマン。
著者等紹介
黒岩重吾[クロイワジュウゴ]
1924年大阪生まれ。同志社大卒。『背徳のメス』により第44回直木賞受賞。社会派現代小説の他、『天の川の太陽』(吉川英治文学賞)『落日の王子』など古代史ものにも力作が多く、1992年第40回菊池寛賞を受賞
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感想・レビュー
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hrmt
34
豊国宇沙での激戦の末、これを征した男具那はいよいよ熊襲川上タケルの討伐に向かう。記紀での兄弟タケルや女装して宴席に紛れ込む件は変えられていますが、軍を率いる身でありながら自ら戦闘に乗り込んでいく勇猛さは元ネタとかけ離れたものではないでしょう。宇沙で共に戦い情を通わせた羽女が、巫女王の位を捨て男装し、兵士として追ってきたものの男具那の影武者として死んでしまうのも物語に色を添えます。川上タケルとの直接対決は思ったより呆気なかったですが、名を贈られ初めて倭健となった男具那の苦難はこの後まだまだ続くらしい。2019/03/26
浦
11
九州遠征編の後半。前巻の戦いは戦略が当たり大成功だったが、今回は慣れない相手の土地で苦戦する。一度だけ結ばれた女性・羽女の犠牲とともに勝利をおさめた男具那は、倒した敵から最期に自らの名前を贈られ、ヤマトタケルと名乗る。古事記、日本書紀で大体のあらすじを知っているので、このあとの展開が辛くなっていく予感がして、複雑な心境だ。2017/10/03
kiiseegen
9
熊襲、川上建との決戦が終わり、これで漸く倭建と改名。一息ついたと思いきや・・・まだまだ命を狙う者が。次巻より東征へと物話は進む。2019/11/20
紫暗
1
主人公、男具那がやっとこの巻でタイトルにある有名なヤマトタケルに改名しました。と、同時に熊襲討伐を終え、主人公の英雄への一歩が大きく踏み出された感じです。邪魔にならない程度に女剣士とのロマンスが描かれていて、戦の話ばかりしている中にも読みやすさがありました。一つの大きな戦いを経た主人公がどんどん成長していくのもこの物語の魅力の一つでしょう。ここからは活躍の後、滅亡が待っているのでしょうが、まだまだ先は楽しみです。2011/09/20
半べえ (やればできる子)
0
★ 旧単行本で読む2011/03/02