内容説明
負債をかかえて逃避行をする谷原は、同宿の、設計技師と“計算狂”の美女との雑談から、大金儲けのヒントを得る。それは、石見銀山坑内発掘と高圧線下の細長い土地の利権にかかわるからくりであった。が、まんまと、電力会社から一億二千万の補償金を獲て、さらに勝負に出ようとした矢先、行方不明になってしまう。往年の殺人疑惑が谷原殺しを引き起こし、その接点には「数字のある風景」があった…。山陰とウィーンを飛び交う大胆な構想と緻密な計算が行き届いた、巨匠の傑作長編推理。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キムチ
44
ちょっと前、清張さんを読んだとき「むむー、このレトロ臭は!」と我ながら愕然。長雨の手遊びに借りたこの冊は読めた😅TVでたまたま見た石見の子育て。歴訪記憶辿るべく…。何と言ったって半世紀前の空気、懐かしさより「当時の日本に生息していた人種!?」に感慨深い😧金儲けで危機感度外視でこんなに首突っ込むか!とか、突っ込み感溢れるのも刺激。上野、守屋、和田と叩かずとも埃醸す人間の台詞と言い、流石やね。まやかしキク女が漫画チックでお味宜しい。下手な学術書に優る昭和サブカルです2024/08/31
しーふぉ
22
石見銀山が今のような世界遺産に認定され観光地になる前の話し。松本清張が2時間ドラマによくなる訳がよく分かる。場面転換や謎の女性など映像にしやすいんだろうな。2022/10/30
jima
22
松本清張が大好きだった父と、この本を読んだ後に高圧送電線の下の土地について話をしたのを思い出した。懐かしい。2020/12/05
グラスホッパー
15
山陰での出会いや展開が広がって、どう収束するか、最後まで楽しく読んだ。ミスリードがよかった。数マニア、石見銀山やヨーロッパの石畳について、興味深かった。2023/08/13
かみふうせん
8
山奥の宿で出会った宿泊客の3人が話のストーリーを繋げていく。途中から計算狂について音楽家達の本を調べたりするのが今後どんな繋がりがあるのだろうって思ったところ、最後には綺麗に繋がった。最後は案外簡単に終わってしまってビックリ。2024/02/10