出版社内容情報
――樟脳の匂い。それは僕にとって、大事な死者の忘れ形見だった。
その村では人が死ぬと、霊は徐々に若返り、やがて赤子に戻る。死者が女なら「初髪下ろし」の儀式を行い、成仏を促すという。
将来に悩む美大生・洞口航は、漆掻きのアルバイトの面接を受けた。謎めいた女性に採用されて山村に向かったものの、到着するなり思いもかけぬ事態に遭遇する。集落の長に「初髪下ろし」の役目を押しつけられたその夜から、不穏な影が身辺に忍び寄る。
「お前、このままだと死ぬぞ」
怯える航を見かねた漆掻きの親方が明かしたのは、村が隠してきた想像を絶する闇だった。
【目次】
第一章 匂いのある女
第二章 重なり合う女
第三章 忍び寄る女
第四章 すすり泣く女
終章 重なりゆく女
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
橙
13
87冊目 クラシカルな設定(因習・男尊女卑・愛憎等々)で順当に怖くて面白かった。身体性を伴った執拗なまでの恐怖描写も見事。読者を引き摺り込ませる意気込みをひしひしと感じる。あそこまで構ってちゃんな幽霊は初めて出会ったw ミステリー要素も巧みで、正に横溝正史賞にぴったりな作品。 子供を巫女に据える理由が読み取れた時の悍ましさは筆舌に尽くし難い。 水沢さんの二作目も読んでみたくなった。2026/10/03
衣更着
8
第46回横溝正史ミステリ&ホラー大賞〈大賞〉〈読者賞〉ダブル受賞とのことで、あまり期待しすぎないように手に取ってみたけども非常によかった。近年の大賞作では最も怖い作品だと思う。大学でみつけたバイトで因習村に行くと逃れられない儀式に関わるハメになるのだけど、この下りがもう恐ろしく忌々しいw 村では村で、割と頻繁に女霊が出てくるので怖さが減ずるかと言えばそんなことはなくぬっとりべっちょりとした湿度が感じられて非常にイヤなのだw2026/10/03




