出版社内容情報
〇「滑稽でもあり哀れでもある主人公が、実在の人物に思えるほど描写が自然で的確」(冲方丁/選評)
〇「名作が名作として読者の心に届く瞬間を目の当たりにできた思いで胸が熱くなった。」(辻村深月/選評)
〇「選評を書いているいまも、得がたい余韻がつづいている。」(道尾秀介/選評)
〇「淡々とした、ときにはユーモラスな語り口ながら、最後の一行まで緊張感が失われないのは、主人公の根源的な戦いを、緻密に、正確に、描いているからだ。感銘を受けた。」(森見登美彦/選評)
〇「こういう人の、こういう日々こそを、青春と呼びたい。いや、呼ばせてください。」(尾崎世界観)
鬱で仕事を辞め、ほとんど外に出られなくなった宮田は、友人の浜野から、期間工は人と接することが少ない「人間だとは思われない、ほとんど透明」な仕事だと聞き、浜野と共に工場で働くことに。
絶え間なく人間性を削り取られるような境遇の中、気付けば人間らしい営みを求めるようになっていく宮田だったが、実はある秘密を抱えており――。
選考委員の胸を打った、第16回小説野性時代新人賞受賞作!
【目次】
春
夏
秋
冬
春隣
選考経過/受賞の言葉/選評/歴代受賞作