出版社内容情報
気取り屋だが内気の豹一は学業も恋愛も自尊心が邪魔をしてうまくいかない。高等学校落第後は新聞記者になり、恋愛事件で映画界を追放された「問題」の女優の記事を書くように命じられるーー。恋愛や失恋を通して、一人の青年の成長を描く痛快青春小説(「青春の逆説」)ほか、天衣無縫の棋風で知られる将棋指し、坂田三吉の定跡を嫌った「青春の手」の話から小説の新たな可能性について熱く綴られた晩年の評論「可能性の文学」を収録。
内容説明
気取り屋だが内気の豹一は学業も恋愛も自尊心が邪魔をしてうまくいかない。高等学校落第後は新聞記者になり、恋愛事件で映画界を追放された「問題」の女優の記事を書くように命じられる。恋愛や失恋を通して、一人の青年の成長を描く痛快青春小説(「青春の逆説」)ほか、天衣無縫の棋風で知られる将棋指し、坂田三吉の定跡を嫌った「青春の手」の話から小説の新たな可能性について熱く綴られた晩年の評論「可能性の文学」を収録。
著者等紹介
織田作之助[オダサクノスケ]
1913年、大阪市生まれ。38年、「雨」を発表。翌年発表した「俗臭」が芥川賞候補、さらに「夫婦善哉」が改造社の第1回文芸推薦作品となり、これを機に本格的な作家生活に入る。戦時中は『青春の逆説』が発禁処分を受けるが、新戯作派(無頼派)の一人として活躍し、「オダサク」の愛称で親しまれた。47年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
42
面白かったです。主人公・豹一があまりにも自意識過剰なのが可笑しいですよね。学業も恋愛も自尊心が邪魔をしてうまくいかないのがもどかしいところです。まさに青春と言って良いでしょう。1人の青年の成長を描く痛快な作品でした。2025/07/30
ヤベ
2
青春の逆説→楽しく読んだ。関西と東京が比較されたうえで、主人公が関西的世界に還っていくところは読みどころだと思った。可能性の文学→事実をある形式にまとめあげ美術品的に鑑賞するのを至上とする日本の小説観に対抗する。嘘=経験からの飛躍=人間の可能性を小説で示せという。書き散らしの部分もあるが奔流のような文章でいい。全体の印象→小説には評論のような殺気はない。構造に中途半端に気を使ったのが裏目に出ているような気もする。2025/08/05
kintamTaka
2
心の動きをしっかりと頁を費やして描いているので読み応えがある。2025/07/15
Ayako Moroi
0
あまりにも自意識過剰すぎる主人公の姿がおかしいが、大阪の路地から第三高等学校に行き、落第したあたりには作者との重なりがあるのだろう。オダサクがせめてあと十年小説を書いていたら、どんな「可能性の文学」があっただろう。横光利一の『旅愁』には私も同じような感想をもっている。2025/07/19