出版社内容情報
生命を賭して著者が紡いだ、読者へのラストメッセージ
ずっと前に早世した妹といま余命宣告を受けた自分をつなぐことで見えてくる人間の孤独、湧きあがる思い、粉雪のように静かに舞い降りる記憶――。著者が闘病中に最後の作品と心定めて書き上げた絶筆「リヴァプールのパレット」。上質なセンチメンタリズムが内包された「僕たちの星」「彼女が悲しみを置く棚」。声帯を摘出したことを明かし、夫人が代読した藤井聡太王位の就位式祝辞――「声なき祝辞」の完全版を収録。
内容説明
ずっと前に早世した妹といま余命宣告を受けた自分をつなぐことで見えてくる人間の孤独、湧きあがる思い、粉雪のように静に舞い降りる記憶―。著者が闘病中に最後の作品と心定めて書き上げた絶筆「リヴァプールのパレット」。上質なセンチメンタリズムが内包された「僕たちの星」「彼女が悲しみを置く棚」。声帯を摘出したことを明かし、夫人が代読した藤井聡太王位の就位式祝辞―「声なき祝辞」の完全版を収録。人に対して常に優しいまなざしを向け、言葉を届けた大崎善生の遺稿集。
著者等紹介
大崎善生[オオサキヨシオ]
1957年、札幌市生まれ。2000年、デビュー作の『聖の青春』で新潮学芸賞を、01年『将棋の子』で講談社ノンフィクション賞を受賞。02年には、初めての小説『パイロットフィッシュ』で吉川英治文学新人賞を受賞した。24年8月、癌のため逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おしゃべりメガネ
103
2024年8月に癌のため逝去された作者さんのラストメッセージ。ファンとしては涙なしには読めない作品でした。ご自身が余命宣告を受けての執筆とありながら、不思議とそこには悲壮感のようなモノが一切感じられず、改めて作者さんの精神力に敬意を表します。大崎さんの十八番ともいえる短編&中編が三作と藤井聡太さんの王位就位式で披露された『声なき祝辞』が収められています。『声なき~』は既に声帯を失って声を出せなかった作者さんに代わり、奥さんが読み上げたとのこと。やはり大崎さんの新たな作品を今後読めないと思うと寂しいですね。2025/03/19
タックン
95
昨年に惜しまれながら亡くなられた大崎さんの最後の1冊の短編集。 (リヴァプールのパレット)癌で闘病中に書いた遺作。一瞬ノンフィクションかと錯覚するようなリアル感があった。 1972年冬季オリンピック戦後の札幌。2歳離れて闘病中の健気で真っすぐな妹への想いが溢れてて悲しい。 その白くて透明感ある文章がまた素晴らしい。 そしてビートルズの名曲の数々と題名のリバプールのパレットからくる旅情館がいい。 妹と同世代で同じ感じでビートルズを聴き始めてた自分を思い出して懐かしかった。2025/08/11
ベイマックス
57
遺作との情報がなければ、小説なのかエッセイなのか…。2025/09/09
チャッピー
37
厚みのない本なのでさらりと読めば1時間くらいで読めるだろうと手に取った。けれど、読み終えるのに何時間もかかった。表題作はビートルズの歌と病気の妹との思い出。知らぬ間に涙がこぼれ落ちた。そして藤井王位の8冠達成への「声なき祝辞」。将棋の世界と棋士たちへの愛、羽生さんや藤井さんへの敬意に溢れていた。大崎さんの本、もっと読みたかったなぁ。2025/05/21
薦渕雅春
23
タイトルに〈リヴァプール〉とあるからビートルズの話かな、と思ったらやはりそうだった。あとから帯を見ると〈がん闘病中に書き上げた表題作をはじめ、単行本初収録の短編〉とあり、著者が2024年8月に亡くなっている事を知る。今年3月に刊行された著者の遺稿集だった。著者の作品はそんなに読んでなく、村山聖 棋士のことを書いた『聖の青春』ほか読みたい作品もあったのに手に取ってなかったな、と。「僕が中学に進学したとき、姉は入学祝いとして1枚のLPレコードをプレゼントしてくれた」主人公がビートルズと出会った瞬間、事実かな?2025/10/08
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