出版社内容情報
雪の深夜の当直中、刑事の松野徹は不審車両に遭遇し職務質問する。運転手の藤池光彦は急発進、徹は追跡するが車は交差点に突っ込み、光彦と通りかかった車の家族四人が死亡する大惨事となる。警察への批判が強まりかけたとき、光彦が事故直前に強盗致傷事件を起こしていたと判明、非難は遺族に集中した。冤罪を疑う光彦の両親から再捜査を嘆願された徹は、自責の念に誘われるように引き受けてしまう。新事実など出てきようがない、はずだったが――。
内容説明
雪の深夜の当直中、刑事の松野徹は不審車両に遭遇し職務質問する。運転手の藤池光彦は急発進、徹は追跡するが車は交差点に突っ込み、光彦と通りかかった車の家族四人が死亡する大惨事となる。警察への批判が強まりかけたとき、光彦が事故直前に強盗致傷事件を起こしていたと判明、非難は遺族に集中した。冤罪を疑う光彦の両親から再捜査を嘆願された徹は、自責の念に誘われるように引き受けてしまう。新事実など出てきようがない、はずだったが―。第44回横溝正史ミステリ&ホラー大賞優秀賞受賞作。
著者等紹介
浅野皓正[アサノコウセイ]
2001年、東京都生まれ。22年、「殺人犯」で東大生ミステリ小説コンテスト大賞を受賞(「テミスの逡巡」と改題し『東大に名探偵はいない』に収録)。24年、「責」で第44回横溝正史ミステリ&ホラー大賞優秀賞受賞。東京大学法学部在学中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いつでも母さん
153
第44回横溝正史ミステリ&ホラー大賞〈優秀賞受賞作〉真相と真実の違いは毎度わかるようなわからないような私だが、面白く読んだ。くぅ・・その先の真実って言うのが「くぅ・・!」なのよ。2001年生まれ、東大法学部在学中ですってよ。ホラー要素はなかったけれど、とにかく受賞おめでとうございます。次を楽しみにしたい。2024/10/21
ちょろこ
129
ひたすら暗かった一冊。生きていれば幾つもの後悔はつきもの。それが誰かの人生を左右するものだったら…たちまち自責の念という重い十字架に変わる。その苦しみを丁寧に描いた作品。自分が関わった過去の事件の真相を刑事としてよりも、一個人として再捜査していく主人公。ずっと埋められていたかのような真実を掘りおこす過程、葛藤する姿、そして思いもよらぬ展開は暗さしかないけれどリーダビリティにやられる。ほんのり頭に浮かんだ数々のもしかして…が目の前に晒された瞬間は憤りとやるせなさ。誰かの犠牲なくしての真実は無い、改めて思う。2024/12/17
hiace9000
125
書き出しの妙、また第一章への渡りも横山秀夫さんの警察小説のような独特の陰りと何か起こるかも…という緊張を感じさせるリーダビリティ。「暴けなかった事件の真実」と「隠された事件の真相」が徐々に炙り出されていく過程は読みごたえ十分。第二章からは視点が変わり、もしかして…の予感めいたものから始まる展開。罪を犯した責任、罪を犯させた責任、誠実さゆえの贖罪の思いが絡まり、ついに核心に迫った時―。受賞作ミステリーとしての読みごたえは応分。選評や受賞の言葉から察するに、今作出稿までに相当な加筆修正を経てここに至ったよう。2024/11/15
ma-bo
99
横溝正史ミステリ&ホラー大賞の優秀賞受賞作。作者は23歳、東大在学中との事。ミステリでもホラーでもない気がするけどね。刑事の松野徹は不審車両に職務質問すると車は急発進。追跡中に通りかかった車と衝突、不審車両の男と家族4人が死亡する大惨事となる。男は事前に強盗殺傷事件を起こしていた事が判明。12年後冤罪を疑う男の両親は徹に再捜査を懇願する。徹が個人的に追うことにより、隠されていた捜査の真相、事件の裏にあった事実、そして徹が抱えていた自責の念、苦悩が。一章と二章では視点が変わり戸惑う部分もあるが、読ませる力↓2024/12/18
ナミのママ
82
ミステリ系警察小説との事で楽しみにしていた。12年前死亡した墓にお参りする序章から始まり、出世街道から外れたらしい主人公が登場する。過去の捜査にて5人が死亡した事件に囚われた心情が胸に迫る。再捜査をはじめてしまった主人公。真相は哀しく、読み手に問いかけてくる。第一章までは一気読みだった。しかし唐突感が否めない第二章、なんだかしっくりしないまま読み終わった。この構成が作品の魅力なのかもしれないが、だとしたら私には全く合わない作品だった。 【第44回横溝正史ミステリ&ホラー大賞優秀賞】受賞2024/10/26




