出版社内容情報
晩年を迎え、体が動かなくなった父親に複雑な思いを抱く43歳の息子。心配する半面、迷惑という気持ちがせりあがり、両親の死まで冷静に見つめるようになってしまった。冷酷で冷徹な息子なのかと自身に落胆しながらも、ずっと考えていることがある。お父ちゃん、生きていることは、楽しい――?人生の大切なものを見つめ直す時間をくれる3作品。
内容説明
小春日和の陽光が射し込む実家の居間、小ぶりの灰皿は一時間たらずで煙草の吸い殻で埋まってしまった。脳梗塞を患い、晩年を迎えた父は動くこともままならず、言葉もうしなった。酒好きだった父。絶対的な君主だった父の姿が脳裏を過る。いつまで生きることが父の幸せなのだろうか。父は黙ったまま、窓の外に広がる冬枯れの野山を見つめていた―。
著者等紹介
重松清[シゲマツキヨシ]
1963年岡山県生まれ。出版社勤務を経て執筆活動に入る。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞、14年『ゼツメツ少年』で毎日出版文化賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
凛
16
脳梗塞の後遺症の残る父とその息子の『みぞれ』含めた家族に纏わる3作の短篇集からなる作品で、100分と言わず30分程で読了。どの話も家族の存在の有り難み以上に、家族がいる事で発生する負の面(介護を要する頑固な父との確執、自分を優先し家族を捨てた母親の死、デリカシーのない義弟との付き合い)が全面に押し出され、総合的に家族について考えさせられる作品でした。自分が苦労をさせられながらも、家族を思いやる余裕を私はこの作品の登場人物のようにもてるんだろうか…。2025/01/18
優良児
2
さらっと読める短編集。3篇の中で気に入ってるのはタイトルにもある「みぞれ」。 決定的な出来事は起こらないけれど、情景描写がとても自然で他人の記録を覗き見てるみたいなリアリティと没入感があった。 理屈では主人公が正しいんだろうけど、人間として生きている以上、両親のように感情を優先することの方が幸せにつながるんだろうな、、ハラハラさせられるけど。2025/04/17
dachshund
2
本当に100分程度で読み終わりました。3つの短編小説。それぞれ家族にまつわる話であり、辛辣な内容ながら最後にはすこしほっとできるストーリー。おすすめです。2024/11/28
CEJZ_
0
1P14行。2008年の文庫、短編集『みぞれ』から3編収録。角川文庫の「100分間で楽しむ名作小説」のシリーズ。『みぞれ』の文庫は、発売当時に読んだことがあったが、短編の題名を見ても内容はよく覚えていなかった。久々に読み、そういえばこんな話だったかなあと思い返す。100分とかからず読み終わる。厳選された作家と作品のこのシリーズは、文字が大きく14行で読みやすい。ふだん読む文庫とはちがい、どんどんページをめくることで新鮮な感じもした。装丁も統一されたバリエーションでキレイ。解説はなし。2024/11/24
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