出版社内容情報
警察庁統計外暗数犯罪調整課は、通報に至らず見過ごされた犯罪を調査することを目的として設置された。所属する坎手正暉(あなて・まさき)警部補が共助者である静真(シスマ)と共に調査に出向いた浅草で、2年前の拘置所火災で死んだはずの囚人が新たに死体となって発見される。正暉と静真、2人が出会うきっかけとなった拘置所火災の現場で何が起きていたのか――。2人が過去の謎と対峙する間も、浅草で起きる犯罪は不穏さを増していく。その影に蠢く悪意の存在を、静真は自らの能力をもって感じ取っていた……。
内容説明
「奴がいる地域では犯罪発生率が必ず上昇する?」不自然な犯罪の多発を目の当たりにした警察官の永代正閏は、統計外暗数犯罪調整課の正暉と静真から、元凶というべき存在を告げられる。他人の感情を増幅させるというその男は、2年前の拘置所火災で正暉と静真、永代にとって掛け替えのない人の命を奪っていた。「共感」が炙り出す罪を理解し、悪を裁くすべはあるのか。正義のジレンマに真っ向から挑む、近未来警察小説、解決篇!
著者等紹介
吉上亮[ヨシガミリョウ]
小説家、脚本家、漫画原作者。1989年、埼玉県生まれ。早稲田大学文化構想学部卒業。2013年『パンツァークラウンフェイセズ』(ハヤカワ文庫JA)で小説家デビュー。19年『泥の銃弾』(新潮文庫)で「本の雑誌」オリジナル文庫大賞第1位を獲得(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えみ
43
悪を裁くために正義を捨ててはいけない…とはこういうことなのか。もしこれをこの世界の近未来、と想定されているのであれば強い警戒感を抱かずにはいられない。触れてはいけない「共感」が巻き起こした混乱が、人間の心を破壊するという悲惨な事件を目撃した。「共感してしまう」存在と「共感させてしまう」存在。果たしてどちらが罪深いのか。統計外暗数犯罪調整課の正暉と静真により、息子の死の背景を知った警察官・永代はある決意をする。この小説を読むまで共感は人間にだけ湧き上がる尊い感情なのかと思っていたけれど…。テトラド解決編!2025/02/08
冬野
10
シリーズ第二弾。過剰な共感を引き起こす存在・テトラドと、彼らに対峙する警察組織のSFサスペンス。善と悪、そして正義についての話。振り返ると前巻は事件の前提条件が揃うまでの長い序章に過ぎなかったと分かる。2も全体的に冗長な印象で、やはりもっとテンポをよくして二冊を一冊に収めた方が良かったのでは。でも1でこの描写は一体何なんだ…と感じた部分もちゃんと意味があったので、1を読んで評価を保留した方はとりあえず2まで読むとスッキリするかも。亥良が登場するシーンの鳥肌立つ感じが良かった。正暉の在り方が好き。星:4/52024/07/21
ももいろ☆モンゴリラン
1
間髪おかずに出るやん!…登場人物一覧はつけてもらいたかったかも。アクションの描写は抜群ですが、その急展開に挟まれる心情部分が少し冗長だったかも。犯罪係数よりもっと定量化しにくい「共感」という概念の拡張した世界を、私は強固に想像することが難しかった…2024/07/12
太郎
0
★★★☆☆2024/12/08
tekutekukiyo
0
シリーズ第二弾。過剰な共感を引き起こす存在(テトラド)と、警察組織とのサスペンス小説。第二弾と第一弾とがオーバーラップする多く、この2分冊した意味がわからない。年寄りには難解小説でお勧めできない。2024/09/19
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