雨の日の心理学―こころのケアがはじまったら

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雨の日の心理学―こころのケアがはじまったら

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  • サイズ 46判/ページ数 352p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784041148877
  • NDC分類 146.8
  • Cコード C0095

出版社内容情報

こころのケアははじめるものではなくて、はじまってしまうものである。
つまり、自主的に、計画的に、よく考えて契約書にサインしてから開始するものではなく、受け身的に、期せずして、否が応でも巻き込まれてしまうものです。
よく晴れた休日に散歩に出かけたら、突然大雨が降ってくるようなものです。
そういうとき、僕らは当初の予定を変更して、とにもかくにも雨宿りをできる場所を探したり、傘を買ったりしなければいけなくなります。

同じように、ある日突然、身近な人の具合が悪くなる。
子どもが学校に行けなくなる。パートナーが夜眠れなくなる。老いた親が離婚すると言い出す。部下が会社に来なくなる。あるいは、友人から「もう死んでしまいたい」と連絡が来る。
突如として、暗雲が立ち込める。
どうしてそうなったのか、なにをすればいいのか、これからどうなるのか、全然わからない。
でも、雨が降っていて、彼らのこころがびしょ濡れになっていることだけはわかります。
そのとき、あなたは急遽予定を変更せざるをえません。とにもかくにも、なんらかのこころのケアをはじめなくちゃいけなくなる。
傍にいるのがあなただったからです。その人があなたの大事な人であったからです。
ある日突然、あなたは身近な人に巻き込まれて、雨の中を一緒に歩むことになってしまう。
こういうことがどんな人の身の上にも起こります。
人生には、こころのケアがはじまってしまうときがある。

ですから、突然の雨に降られている方々に向けて、あるいは長雨の中で日々を過ごしておられる方々のために、心理学の授業をしてみようと思います。
雨が降ったら、傘を差すように、こころのケアがはじまったら、心理学が役に立つと思うからです。
(まえがきより)

内容説明

こころの雨は突然降り出す。ケアは急にはじまってしまう。家庭で、職場で、誰かをケアするあなたへ。雨の日には傘を差すように、心理学を役に立ててもらえたら。臨床心理士が贈る5日間のやさしい授業。

目次

1日目 こころのケアとはなんだろうか―雪だるまを溶かさない
2日目 こころをわかるとはどういうことだろうか―既読スルーを思いやる
3日目 こころはどうしたらきけるのか―ゼリーをやりとりする技術
4日目 こころはなにをすれば助かるのか―余計なお世話と助かるおせっかい
5日目 ケアする人をケアするもの―つらいとき、たのしいとき
もっと勉強したい人のためのブックガイド

著者等紹介

東畑開人[トウハタカイト]
1983年東京都生まれ。専門は、臨床心理学・精神分析・医療人類学。京都大学教育学部卒業、京都大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。精神科クリニックでの勤務、十文字学園女子大学で准教授として教鞭をとった後、白金高輪カウンセリングルーム主宰。博士(教育学)・臨床心理士・公認心理師。2019年『居るのはつらいよ―ケアとセラピーについての覚書』で第19回大佛次郎論壇賞受賞、紀伊國屋じんぶん大賞2020受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

pirokichi

26
臨床心理学者の著者による素人のための「こころのケア教室」。5日間の講義形式で、毎回講義の最後には質疑応答がある。「雨の日」とは「こころが雨の日」のこと。ケアとセラピー、エロスとタナトス、PSポジションとDポジション、転移と逆転移など適度に専門的で親切でわかりやすく、読後何となくゆる~っと楽な気もちになった。「僕らはケアの中を泳いでいます。つまり、つながりの中で生きているということです」。母の介護で帰省するたび、父と必ず口喧嘩してしまうのだが、その理由がちょこっとわかる気がしたので、次回はうまくやれるかも。2024/11/08

ほし

14
人は、ふいに雨に降られるかのように、ある日突然誰かのこころのケアをすることになる時がある。そのような時に役立つ心理学=雨の日の心理学を東畑さんが授業のように語る一冊です。こころのケアの本質は「わかる」ということ。それは相手のこころを受け取り、それを解釈することだとしています。そのために内面の変化を目指すのが「きく」という方法であり、環境の変化を目指すのが「おせっかい」。「きく」というのは相手のこころを自分のこころに置いておくことであり、「おせっかい」は環境のトゲをとり除くこと。素晴らしい一冊でした。2024/09/07

スリカータ

13
初めて読む著者さん。厚い本だが、ズーンと心に響いたセンテンスが2つあった。【環境はうまくいっているときには忘れられて、失敗したときにだけ思い出される】主婦業というのは環境なのだ。だから、減点でしか評価されず悶々とする事もあるが、この言葉で救われた。忘れられているのは、うまくいっているからなのだ。【パーフェクトでない、ほどよい母親】ほどよい母親というのは、基本的にはニーズを満たしているが、時々失敗する母親のこと。寝坊したり、予定を忘れたり。私は失敗すると落ち込むけど、ほどよい路線で十分なのだと安心した。2024/09/27

井の中の蛙

13
前著「ふつうの相談」実践編。東畑さんの著書を読んでいると、時折涙がこぼれて困る(笑)。今回もとても面白かった。メラニー・クライン、ウィルフレッド・ビオンなどの理論も織り混ぜながら、とても平易な文章で民間セクターにおけるケアについて書いて頂けることに感謝。2024/09/25

時計うなぎ

7
こころのケアの9割5分は素人によって行われる。誰かをケアすることに留まらず、自分のこころの理解にも大変助けになってくれる一冊。誰かに相談するのが怖い、そんな自分の長年の悩みの答えも。 ▼普段、私たちは日常のなかで誰かをケアし、誰かにケアされている。酸素みたいにあたりまえに。こころのケアのほとんどは、専門家ではない普通のひとたちによって行われている。毎日のいただきます、ごちそうさま、ありがとう、おはよう、おやすみ。何気ない会話、一緒に食べるランチ、おつかれさまのビール、そういうこと。それが晴れの日。2024/09/16

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